がん患者の災害対策と防災の備えとは。チェックリストで紹介
がんと診断され、治療に向き合っている毎日。体調管理や通院、先の見えない不安など、心身ともに大変な思いをされていることと思います。
そんな中、もしも突然の災害が起きたら…そう考えると、さらに大きな不安に襲われるかもしれません。
このコラムは、「がん患者だから災害に弱い」と不安に思うのではなく、「がん患者だからこそ、より丁寧に防災を考えよう」と前向きな気持ちになっていただくために、マニュアル的に作成しました。
このページを利用して、日々の不安を少しでも和らげ、安心して生活するための知識と準備を、一緒に進めていきましょう。
【命を守る】防災チェックリスト

災害への不安は、誰しもが抱く自然な感情です。まずはその気持ちを受け入れ、無理なく、できることから始めてみましょう。
防災は義務ではありません。自分と大切な人を守るための、前向きな準備です。
災害時にスムーズな対応を行うための、がん患者様ならではの視点に立ったチェックリストを作成しました。
医療情報、備蓄品、避難時の持ち物の3つの項目に分けて、必要なものを確認していきましょう。
チェックリスト1:医療情報
災害時にかかりつけの病院と連絡が取れなくなったり、避難所で適切な医療を受けられなかったりする事態に対応するため、ご自身の医療情報をまとめておくことが重要です。
- 診断名、病状
- 治療歴(手術、抗がん剤、放射線治療など、時期や内容も詳しく)
- 現在服用中の薬(薬の名前、量、服用回数)
- アレルギー情報
- かかりつけ医・病院の情報(病院名、連絡先、担当医の名前)
- 緊急連絡先(家族、親戚、友人など)
これらの情報を紙のノートや手帳に手書きするだけでなく、スマートフォンのメモ機能などを活用して、複数の方法で保管しておくと安心です。
チェックリスト2:備蓄品
基本的な防災グッズに加えて、がん患者様特有の備蓄品を準備しておきましょう。最低3日分、おすすめは1週間分です。
これにより、災害時に自宅で過ごす場合も生活を安定させ、治療への影響を最小限に抑えることができます。
食品
・消化が良く、食べやすいもの(おかゆ、ゼリー飲料、レトルトのお惣菜など)
・栄養補助食品やプロテイン飲料
・食欲がない時でも口にしやすいもの(飴、ビスケットなど)
衛生用品
・口腔ケア用品(歯ブラシ、マウスウォッシュ、保湿剤など)
・体を清潔に保つための清拭タオルやウエットティッシュ
・治療部位に合わせた専用の衛生用品(ストーマ用品など)
医療品
・常備薬(多めに)、常備薬リスト
・治療に必要な器具や備品
・消毒液、ガーゼ、包帯などの応急処置セット
その他
・体温調節ができる衣類(カーディガン、ストールなど)
・ストレスを軽減するアイテム(本、音楽プレイヤーなど)
チェックリスト3:避難時の持ち物
災害が発生した直後に家を空けて避難する場合の、非常用持ち出し袋の中身をリストにしました。
非常用持ち出し袋は、両手が空くリュックサックがおすすめです。玄関など、いつでも持ち出せる場所に置いておきましょう。
- 医療情報をまとめたもの(お薬手帳、上記のチェックリスト)
- 常備薬(3日〜1週間分)
- 水(500mlペットボトル数本)
- 非常食(カロリーメイト、ゼリー飲料など)
- 携帯電話の充電器、モバイルバッテリー
- 懐中電灯
- 貴重品(現金、身分証明書のコピーなど)
- マスク、除菌シート、ウエットティッシュ
- 防寒具(使い捨てカイロ、ブランケットなど)
避難生活で心と体を守るために

実際に避難生活を送ることになった場合、心と体を守るためにできる工夫をいくつかご紹介します。
衛生面を保つ
避難所では感染症のリスクが高まります。
こまめな手洗いやうがいはもちろん、清拭タオルなどで体を拭き、清潔を保つことが大切です。
また、簡易トイレなどを活用して、衛生的な環境を確保することも重要です。
食事と水分補給
備蓄食を温めたり、消化の良いものを少しずつ摂ったりして、体調を崩さないようにしましょう。
脱水症状を避けるため、こまめな水分補給も忘れずに行ってください。
ストレスを和らげる
避難生活は大きなストレスを伴います。
無理のない範囲で体を動かしたり、好きな音楽を聴いたり、家族や友人と話したりして、心を休める時間を作りましょう。
仕事と治療の両立
現役世代のがん患者さんにとって、災害時の仕事と治療の両立は大きな課題です。
災害による避難生活が長期化した場合、仕事への影響も懸念されます。
日頃から企業の健康管理室や相談窓口、保健師さんに相談しておくことで、万が一の時の支援制度の内容を知っておくことができます。
働く人々が安心して治療に専念できるよう、企業や組織も支援のマニュアルを作成しています。
ご家族・周囲の方へ

ご家族は、患者様にとって何よりの安心できる方々です。災害時には役割分担を決めておくことが大切ですが、それ以上に「患者様の不安を受け止め、落ち着いた態度で寄り添う」ことが心構えとして重要です。
薬や医療情報の管理、避難場所の確認、避難所での生活サポートなどを協力して行いましょう。
また、患者様の小さな体調の変化に気づくことも、家族ならではの大切な役割です。
困ったときは家族だけで抱え込まず、地域の人や支援団体に声をかける勇気を持ちましょう。
「一人で頑張る防災」ではなく、「みんなで支え合う防災」が、患者様と家族にとって最も心強い備えとなります。
おわりに
がんという病気と向き合いながらの防災は、決して簡単なことではありません。
しかし、それは決して怖いことではなく、「未来の笑顔を守るための準備」です。日々の生活の中に、少しずつ備えを組み込んでいくことで、いつの間にか精神的な対策にもなっているはずです。
このコラムが、皆様の防災への第一歩となり、少しでも心の安心につながることを願っています。
