2025.10.24

抗がん剤の副作用 「食事がつらい」と感じたら

おにぎり

抗がん剤治療が始まると、吐き気や倦怠感、脱毛など、さまざまな副作用が起こることがあります。その中でも、多くの患者さんが感じるのが食欲不振です。

「食べたい気持ちはあるのに、食欲がわかない…」 「何を食べても味がわからない気がする…」

このような悩みは、身体の栄養が心配になるだけでなく、食事の時間そのものに対するストレスや不安にもつながってしまうことがあります。しかし、食欲がない時でも、工夫次第で食事を少しでも楽しむことが可能です。

このコラムでは、食欲不振がなぜ起こるのかという原因から、すぐに試せる食べ方のヒントまで、抗がん剤治療中の食生活をサポートする情報をお届けします。

なぜ? 食欲不振が起こるさまざまなメカニズム

食事とはてな

抗がん剤治療による食欲不振は、さまざまな要因が関係して起こります。これらの原因を知っておくことは、無理をせず食事と向き合うために役立ちます。

  • 味覚の変化
    抗がん剤は、口の中の味覚を感じる細胞に影響を与えることがあり、味がしない、金属のような味がするといった症状が生じます。特に、苦味や塩味を強く感じることが多いと言われています。
  • 吐き気や嘔吐
    抗がん剤は消化器にも作用し、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。吐き気がある状態では、食べ物を見たりにおいをかいだりするだけで不快感を感じ、食欲が低下してしまうことが多いです。
  • だるさや倦怠感
    治療中は疲れや倦怠感を強く感じるため、食事を用意する気力がわかなかったり、食べることそのものがおっくうになったりします。
  • 口内炎
    口やのどに口内炎ができると、食べ物がしみる痛みがC、食事がつらいと感じる大きな原因となります。硬いものや刺激の強いものを避ける必要があります。

これらの症状は、治療の種類や期間、個人差によって大きく異なります。ご自身の食欲不振が治療の影響で起こっていることを知るだけでも、自分を責める気持ちが軽くなることでしょう。

食欲がない時でもOK! 食べ方の「小さな工夫」

頂きますをする女性

食欲がない時でも、少しでも食べられるように、以下の小さな工夫を試してみませんか?

  • 少量ずつ、こまめに食べる
    一度にたくさん食べようとすると、気分が悪くなってしまうことがあります。食事の回数を増やし、1回に食べる量を少なくすると、胃腸への負担を軽減し、食欲を維持しやすくなります。
  • 食べたいものを優先する
    栄養バランスを気にしすぎると、かえってストレスにつながります。食べたいと感じるものがあれば、まずはそれを優先して食べてみましょう。食べられるものを見つけることが、次の食事への意欲につながります。
  • 食事の環境を整える
    食事の時間を無理に決めず、食べたいと感じるときに食べるようにしましょう。においに敏感になる場合は、換気をしたり、冷めてから食べたりするとよいでしょう。食卓に好きな花を飾るなど、心が落ち着く環境をつくることも大切です。

栄養補給を助ける「やさしい食事」のヒント

野菜スープ

食欲不振のときは、栄養が偏りがちになります。無理に食べなくてもいいのですが、少しでも身体にやさしいものを摂ることで、体力の回復を助け、治療を続ける力をつけることができます。

  • のどごしの良いもの
    ゼリー、プリン、茶碗蒸し、スープ、ヨーグルトなど、消化に良いのどごしの良いものは、食欲がない時でも手軽に食べられます。野菜を入れたポタージュスープなどは、栄養を効率よく吸収できます。
  • さっぱりとした味付け
    味覚の変化で濃い味を受け付けない場合は、レモンや酢、だしを、活用して、さっぱりとした味付けにすると食べやすくなります。香草や薬味も食欲を刺激する効果が期待できます。
  • 手軽に栄養補給できるもの
    調理がつらい時は、無理をしないで市販のものに頼りましょう。栄養補助食品(栄養ドリンクやゼリーなど)は、少量で効率よく栄養を摂ることが可能です。冷凍のうどんやお粥、温めるだけのスープなども活用するとよいでしょう。

食べやすいおすすめレシピ3選

ここでは、食欲がない時でも「これなら食べられそう」と感じていただけるような、簡単でやさしいレシピを3つご紹介します。

レシピ1:とろとろ卵のやさしいおじや

卵のおじや

材料(1人分)

ご飯:茶碗軽く1杯

だし汁:200ml

卵:1個

お好みの具材(細かく切った人参や鶏ひき肉など):少量

作り方

  1. 鍋にだし汁とご飯を入れて火にかけ、煮立たせます。
  2. 具材を加え、火が通ったら溶き卵を回し入れます。
  3. 卵がとろとろになったら完成です。のどごしが良く、身体が温まります。


レシピ2:フルーツとヨーグルトのスムージー

イチゴのスムージー

材料(1人分)

お好みのフルーツ(バナナ、いちごなど):適量

プレーンヨーグルト:100g

牛乳または豆乳:50ml

作り方

  1. すべての材料をミキサーに入れます。
  2. 滑らかになるまでミキサーにかけるだけ。冷たくてさっぱりしているので、吐き気がある時でも比較的飲みやすいです。フルーツの種類を変えれば、味の変化も楽しめます。

レシピ3:冷製かぼちゃのポタージュスープ

かぼちゃのポタージュ

材料(2人分)

かぼちゃ:200g

玉ねぎ:1/4個

コンソメスープの素:小さじ1

牛乳:200ml

作り方

  1. かぼちゃと玉ねぎを柔らかく茹でます。
  2. 茹でたかぼちゃと玉ねぎ、コンソメスープの素をミキサーにかけ、滑らかにします。
  3. 粗熱を取り、牛乳を加えてよく混ぜ合わせたら完成です。かぼちゃの甘みがやさしく、栄養も豊富です。

最後に:無理をしないで、自分を大切に

抗がん剤治療中の食欲不振は、ほとんどの方が経験する一時的な症状です。食べられないことを自分のせいではなく、病気や治療の影響だと捉えることが大切です。

もし食欲不振の状態が長く続いたり、体重が大きく減ったりする場合は、一人で判断せず、主治医や看護師、管理栄養士に相談してください。あなたの状況に合わせた食事のアドバイスや、薬の変更などの対応をしてくれます。

このコラムが、あなたの不安を少しでも和らげ、日々の食と向き合うための小さなヒントとなることを心から願っています。

監修医 医学博士 上羽 毅

監修者 

医学博士

上羽 毅

私は医師として日々の診療にあたる中で、患者さんが抱える「治療に対する不安」や「治療への向き合い方」などの声を多く耳にしてきました。
そのような経験から、このサイトでは信頼性を第一に、最新の医学的知見や治療方針をもとに内容を確認・監修しています。専門的な部分を分かりやすく伝えることを心がけ、読者の方が正しい知識をもとに前向きに治療へ臨めるよう願っています。