大腸がんステージ4と向き合う。あきらめない治療の選択肢と希望
大腸がんのステージ4と診断されたとき、患者さんやご家族は大きな不安を感じることでしょう。ステージ4は、がんが原発巣から離れた臓器に転移している状態を指します。しかし、現在の医療は日々進歩しており、ステージ4であっても、以前に比べて治療の選択肢が格段に広がり、長期的な生活の質の維持が期待できるようになっています。
このコラムでは、大腸がんステージ4の患者さんが、ご自身の病気や治療について正しく理解し、前向きに治療を選択できるよう、分かりやすく解説します。決してあきらめる必要はありません。この情報が、皆さまの心の支えとなることを願っています。
大腸がんステージ4の概要

大腸がんとは?
大腸がんは、消化管の最後の部分である大腸(結腸と直腸)の粘膜から発生する悪性の腫瘍です。日本では食生活の欧米化などに伴い、増加傾向にあります。早期に発見されれば、手術で治癒が期待できる病気です。
ステージ4の定義と特徴
大腸がんの進行度は、がんの深さやリンパ節、他の臓器への転移の有無によってステージ0から4に分類されます。ステージ4は、がんが離れた臓器(肝臓、肺、骨、脳など)に転移している状態を指します。
ステージ4の大きな特徴は、がんが全身に広がっていることです。しかし、全てのがんが全身に散らばっているわけではなく、転移したがんが一つまたは数カ所に限られている場合もあります。この違いによって、治療方針や完治を目指せるかどうかが大きく変わってきます。
大腸がんステージ4の症状

一般的な症状
大腸がんステージ4の患者さんには、以下のような一般的な症状が見られることがあります。これらの症状は、がんが進行し、腸の働きに影響を与えることで現れます。
- 便通異常(下痢と便秘を繰り返す、便が細くなるなど)
- 血便、下血
- 腹痛、腹部の張り
- 体重の減少
- 全身の倦怠感
転移による特有の症状
転移した臓器によっては、その臓器特有の症状が現れることがあります。
- 肝臓に転移した場合:黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、腹部の張り、右わき腹の痛み、吐き気
- 肺に転移した場合:しつこい咳、呼吸が苦しい、血痰(血液の混じった痰)
- 骨に転移した場合:転移した部分の痛み、骨折
- 脳に転移した場合:頭痛、めまい、麻痺、手足のしびれ
これらの症状は、他の病気でも見られることがあるため、気になる症状があれば必ず医師に相談することが大切です。
大腸がんステージ4の診断方法

大腸がんステージ4の診断には、主に画像診断と生検が用いられます。
画像診断の役割
画像診断は、がんの広がりや転移の有無を調べるために不可欠な検査です。
- CT(コンピュータ断層撮影):体の内部を詳しく見ることができ、肝臓や肺などの転移を調べるために広く使われます。
- MRI(磁気共鳴画像):CTでは分かりにくい部位(肝臓など)の転移を、より詳細に調べることができます。
- PET(陽電子放射断層撮影):全身のがんの活動性を一度に調べることができ、他の検査では見つけにくい転移を発見するのに役立ちます。
生検とその重要性
生検は、病変の一部を採取し、顕微鏡で調べる検査です。診断を確定する上で非常に重要となります。
- 生検の重要性:生検によって、がんの種類や遺伝子的な特徴を詳しく調べることができます。特に、大腸がんステージ4の治療では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が有効かどうかを判断するために、がん組織の遺伝子検査が欠かせません。この情報をもとに、患者さん一人ひとりに合った治療法が選択されます。
大腸がんステージ4の治療法

ステージ4の治療は、外科手術、化学療法、放射線治療などを組み合わせた「集学的治療」が一般的です。
外科手術の可能性
ステージ4であっても、手術が可能な場合があります。転移したがんが肝臓や肺など特定の一カ所にとどまっており、手術で切除できると判断された場合、外科手術と抗がん剤治療を組み合わせることで、完治を目指せる可能性があります。
化学療法の選択肢
化学療法(抗がん剤治療)は、体内の微小ながん細胞や転移したがんを攻撃する治療の主軸となります。
- 化学療法薬:点滴や内服で投与され、がん細胞の増殖を抑える目的で使用されます。
- 分子標的薬:がん細胞特有の分子を標的にして、がんの増殖を阻害する薬です。副作用が比較的少ないものもあります。
- 抗VEGF抗体:がん細胞に栄養を運ぶ血管が作られるのを妨害する薬です。
- 抗EGFR抗体:がん細胞の増殖を促す信号をブロックする薬です。
放射線治療の役割
放射線治療は、主に以下の目的で行われます。
- 転移したがんの縮小:がんの進行を抑え、がんの大きさを小さくする目的で使われます。
- 症状の緩和:骨転移による痛みなど、がんによる苦痛を和らげる目的で使われます。
免疫療法とその効果

免疫療法の基本概念
免疫療法は、患者さん自身の免疫の力でがんを攻撃する治療法です。特に、がん細胞が免疫にブレーキをかける仕組みを解除する「免疫チェックポイント阻害薬」が注目されています。
ステージ4における免疫療法の適用
全ての大腸がんに免疫療法が効果的なわけではありません。がん細胞の遺伝子検査(MSI-Highなど)を行い、免疫療法が効きやすいタイプのがんであることが確認された場合に適用されます。
大腸がんステージ4の副作用と管理

化学療法による副作用
化学療法には、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えるため、副作用が伴うことがあります。
- 吐き気、嘔吐:吐き気止めで症状をコントロールできます。
- 手足のしびれ(末梢神経障害):薬の種類によっては起こりやすく、症状がひどい場合は医師に相談が必要です。
- 脱毛、口内炎、下痢、倦怠感など
これらの副作用は、薬の種類や量、患者さんの体質によって異なりますが、現在の医療では、副作用を和らげるための様々な対策が取られています。
緩和ケアの重要性
緩和ケアは、病気による心身の苦痛を和らげることを目的としています。がんの進行度に関わらず、診断された時から受けることができます。がんの治療と並行して行うことで、患者さんの生活の質を向上させることができます。
大腸がんステージ4の生活とサポート

日常生活の工夫
治療をしながらでも、できるだけ快適に生活を送るための工夫が大切です。
- 食事:無理に食べようとせず、食べやすいものを少量ずつ何回かに分けて摂るなど、食事を工夫しましょう。
- 運動:無理のない範囲で体を動かすことは、体力維持や気分転換につながります。
- 休養:疲れを感じたら無理せず休むことが大切です。
サポートグループとリソース
一人で抱え込まず、様々なサポートを活用しましょう。
- がん相談支援センター
全国のがん診療連携拠点病院に設置されており、治療や生活に関する相談に専門家が無料で応じてくれます。 - 患者会、サポートグループ
同じ病気の経験者と話すことで、気持ちの共有や情報交換ができます。
大腸がんステージ4に関するよくある質問

完治の可能性はあるのか?
ステージ4であっても、完治を目指せる可能性があります。特に、転移巣が手術で切除できる範囲に留まっている場合、手術と薬物療法を組み合わせることで、治癒が期待できます。手術が難しい場合でも、薬物療法で長期にわたってがんをコントロールできることも多く、がんと共存しながら生活を送ることが可能になっています。
治療費用について
がん治療には高額な費用がかかることがありますが、高額療養費制度など、医療費の負担を軽減する公的な制度があります。また、民間の保険や支援金制度もありますので、がん相談支援センターなどで情報収集することをおすすめします。
最新の研究と治療法の進展

新しい治療法の開発
大腸がんの治療は日々進歩しており、新しい薬剤の開発や治療法の組み合わせに関する研究が世界中で進められています。遺伝子情報に基づいたより個別化された治療が、これからの主流になっていくと考えられています。
臨床試験の参加方法
新しい治療法は、臨床試験という形でその安全性や効果が確認されます。医師から臨床試験について説明を受ける機会があるかもしれません。臨床試験への参加は、新しい治療を受ける機会であると同時に、将来のがん治療の発展に貢献することにもつながります。
