2025.11.06

食道がんの治療法 種類と特徴をわかりやすく解説

青空と木漏れ日

食道がんと診断されたとき、患者さんとご家族は今後の治療について大きな不安を抱かれることでしょう。

食道がんの治療は、病気の進行度合いや患者さんの全身状態によって、様々な治療法から最適なものが選択されます。

このコラムでは、どのような治療法があるのか、そしてどのように治療方針が決められるのかについて、分かりやすく解説します。

紙でできた、?の書かれた吹き出し

食道がんとは何か

食道は、食べ物や飲み物が口から胃へと送られるための管状の臓器です。

食道がんはこの食道の粘膜にできるがんであり、日本では特に男性に多く見られます。

がんが発生する主な原因としては、飲酒や喫煙が挙げられます。

食道がんは初期にはほとんど自覚症状がないため、進行してから診断されるケースが少なくありません。

食道がんの進行度(ステージ)と治療の選択

食道がんの治療方針は、診断された時点での進行度(ステージ)によって大きく異なります。

がんが食道のどの深さまで浸潤しているか、そしてリンパ節や他の臓器に転移があるかどうかを総合的に評価します。

そのうえで病期が判明し、医師が治療方針を決定します。

ハートの周りに医療関連の色々なイラストが描かれている

食道がんの治療には、手術、化学放射線療法、薬物療法などがあり、それぞれの治療法は患者の病状に応じて使い分けられます。

内視鏡治療

食道がんがごく初期の段階(粘膜の中にとどまる程度)で発見された場合、内視鏡を用いた治療が可能です。

手術に比べて、体への負担が非常に少なく、食道を切除する必要がないため、術後の生活の質を高く保つことができます。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの方法があります。

いずれも内視鏡を挿入し、がんの部分を切除します。

外科手術(手術療法)

がんが食道の壁の深い層に浸潤している場合や、リンパ節に転移が見られる場合には、手術が主な治療法となります。

手術は、がんのある部分を切除し、胃や大腸を使って新しく食道をつなぎ直す再建術を行います。

手術の範囲は広範囲に及ぶため、体への負担は大きいですが、がんを取り除く最も確実な方法です。

日本では多くの病院で経験が豊富な医師が行っています。

合併症として、肺炎や縫合不全(つなぎ合わせた部分から消化液が漏れること)などが生じる可能性があります。

放射線治療

放射線治療は、手術が難しい場合や、患者さんの状態によって手術が行えない場合に選択される治療法です。

放射線を照射することでがん細胞を破壊し、症状を緩和する目的で行われます。

また、手術前にがんを小さくする目的で行われることもあり、化学療法と併用して行うとより高い治療効果が期待できます。

化学療法

化学療法は抗がん剤を使って全身のがんを攻撃する治療法です。主に、がんが全身に広がっている場合や、再発・転移が見つかった場合に行われます。

食道がんに用いられる主な抗がん剤としては、フッ化ピリミジン系やプラチナ製剤があり、これらを組み合わせて使用することが多いです。

副作用としては、吐き気や食欲不振、倦怠感などが現れることがありますが、現在では副作用を抑える薬もあり、患者さんの負担を軽減することが可能です。

免疫療法

近年、がんの治療に免疫療法が導入され、食道がんの治療成績も向上しています。

免疫チェックポイント阻害薬が代表的で、がん細胞が免疫の攻撃から逃れる仕組みを阻害し、患者さん自身の免疫の力でがんを攻撃させる方法です。

化学療法と併用して行われることが多く、遠隔転移がある場合にも有効な治療法と考えられています。

ストレッチを行う男性

食道がんの治療を終えた後も、再発や転移の不安を抱える患者がいます。そのため、日常生活で様々な工夫や注意が必要になります。

治療後の生活の工夫と注意点

特に、手術を受けた方は、食べ物が通る道が変わるため食事の工夫が必要です。

一度に多くの量を食べることが難しくなったり、つかえやすい食物を避ける必要があったりします。

かつ、食事は少量を回数多く摂る「分食」が推奨され、よく噛んでゆっくり食べることがポイントです。

水分を一緒に摂ることで飲み込みやすくなり、誤嚥の予防にもつながります。体重や栄養状態の変化にも注意し、必要に応じて医療スタッフと相談しながら調整していくことが望まれます。

栄養士や看護師から指導を受け、自分に合った食事の方法を見つけることが大切です。

また、定期的な通院と検査が行われ、経過観察が重要となります。

再発・転移のリスクと対策

食道がんは、治療を行っても再発や転移を起こす可能性があります。

再発は食道の同じ場所だけでなく、リンパ節や肺、肝臓、骨など他の臓器にも生じることがあります。

再発を早期に発見するためには、医師の指示に従い、定期的な画像検査を受けることが最も重要です。具体的には、CTやPET検査、内視鏡検査などが定期的に行われ、症状がなくても継続的なフォローが必要です。

体調の変化や違和感を感じた際は、自己判断せず早めに医療機関へ相談しましょう。また、再発予防のためには、禁煙・節酒、栄養バランスの取れた食事、適度な運動など、生活習慣の見直しも重要です。

心身のストレスをため込まないよう、周囲の支援を受けながら過ごすことも再発リスクの軽減につながります。

治療後のケア

治療は身体だけでなく、心にも大きな負担をかけます。

治療後も、不安やうつといった精神的な症状が現れることがあります。

これらの心のケアも重要な治療の一部です。医療スタッフやがん相談支援センターに相談し、精神的なサポートを受けることも検討してください。

栄養管理と生活習慣

治療の後は、体力を回復させるために栄養をしっかり摂ることが大切です。栄養士の指導を受けることも良いでしょう。

また、再発予防のため、喫煙や過剰な飲酒は控えることが推奨されます。

適度な運動を取り入れるなど生活習慣を見直すことも、健康な体を維持する上で重要です。

→ 乗り越えたからこそ伝えたい「食道がん克服者の声」はこちら

食道がんと診断された際には、まずご自身の病気の進行度を正しく理解し、手術・放射線・化学療法など、様々な治療法の特徴を把握することが、最適な治療方針を選ぶために欠かせません。


治療の選択は医師と共に行うものであり、疑問や不安は遠慮せずに伝え、納得のいく治療を見つけることが大切です。


そして、治療を終えた後も、定期的な検査や経過観察を続けることで、再発の早期発見につながります。


さらに、心のケアや生活習慣の見直しも、安心して日常を過ごすための大切な要素です。


一人で抱え込まず、医療スタッフやご家族、支援団体などと連携しながら、前向きに歩んでいくことが、より良い生活への第一歩となります。

監修医 医学博士 上羽 毅

監修医

医学博士

上羽 毅

私は医師として日々の診療にあたる中で、患者さんが抱える「治療に対する不安」や「治療への向き合い方」などの声を多く耳にしてきました。
そのような経験から、このサイトでは信頼性を第一に、最新の医学的知見や治療方針をもとに内容を確認・監修しています。専門的な部分を分かりやすく伝えることを心がけ、読者の方が正しい知識をもとに前向きに治療へ臨めるよう願っています。