乳がんの骨転移にどう向き合う?症状・治療・生活の工夫
「乳がんが骨に転移した」と聞くと、多くの患者さんが大きな不安を感じることでしょう。
骨転移は病気の進行を意味するだけでなく、痛みや運動制限など、日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。乳がんの転移は、骨だけでなく肺や肝臓などにも起こることがあり、どのような症状が現れるのか、どんな治療があるのか、様々な疑問が頭をよぎるかもしれません。
このコラムでは、乳がんの骨転移について、正しい知識と最新の治療法をわかりやすく解説します。
さらに、治療後の生活や心のケアについても触れながら、病気と向き合う方が前向きに過ごすためのヒントをお届けします。
不安な気持ちに寄り添いながら、少しでも安心につながる情報を提供することを目指しています。
乳がんの骨転移とは?基本情報と定義

骨転移の基本情報
乳がんは、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って全身を移動し、乳房から離れた臓器に転移する可能性があります。
その中でも骨は、乳がんが転移する部位の中でも最も多い場所の一つです。
特に、脊椎(背骨)、骨盤、大腿骨、肋骨などの骨に発生しやすいと言われています。
乳がんの骨転移の定義
骨転移は、乳房で発生したがん細胞が骨にたどり着き、骨の中で増殖して骨を破壊したり、新しく作ったりする病気です。
骨転移がある場合、がんは進行した状態と診断されます。しかし、骨転移を伴う乳がんは、治癒が難しいと考えられてはいますが、様々な治療法を組み合わせることで長期にわたってがんと共存することが可能になってきています。
乳がんの骨転移の主な症状と診断方法

骨転移の主な症状
骨転移による初期症状は、痛みが主です。特に、転移が起こりやすい部位である脊椎や骨盤、手足の骨などに痛みが生じます。最初は軽い痛みでも、進行すると持続的で強い痛みに変わることがあります。
その他にも、以下のような症状が現れることがあります。
・骨折
がん細胞によって骨がもろくなって骨折しやすくなります。
特に、転移がある部位に軽い衝撃が加わっただけで骨折してしまうケースも少なくありません。
・しびれや麻痺
がん細胞が脊椎に転移し、脊髄を圧迫すると、手足のしびれや麻痺が生じることがあります。
ひどい場合には排尿や排便が困難になることもあります。
・高カルシウム血症
がん細胞が骨を破壊すると、骨から血液中にカルシウムが溶け出し、高カルシウム血症という状態になります。
吐き気や意識障害などが起こる可能性があります。
診断に用いる検査の種類
骨転移は、早期に発見して治療を始めることが非常に重要です。骨転移の診断には、下記のような検査が用いられます。
・骨シンチグラフィ
骨の代謝が活発な部位に集まる特殊な薬を体に注入し、その分布を調べる検査です。
全身の骨に転移があるかを一度に確認することが可能です。
・X線
痛みがある部位の骨の状態を調べるために行われることが多いです。
骨折の有無や、骨の破壊程度を確認します。
・CT / MRI
X線よりも詳細に骨の状態を評価することが可能で、特に脊髄への圧迫が疑われる場合にはMRIが有用です。
・PET
全身のがんの広がりを一度に調べることができる検査です。
骨への転移だけでなく、脳や肝臓など他の臓器への転移の有無も確認します。
・生検
画像検査だけでは診断が難しい場合に、針を刺して骨の一部を採取し、詳しく調べる病理検査が行われることがあります。
乳がんの骨転移における予後とQOLの向上

骨転移がある乳がんは根治が難しい病気と考えられていますが、適切な治療を行うことで、予後を改善させ、患者さんの生活の質(QOL)を高く保つことが可能です。
予後とQOLの向上に向けたアプローチ
骨転移の治療は、がん細胞の増殖を抑制し、痛みを和らげ、骨折を予防することが主な目的となります。薬物療法が主な治療で、様々な種類の薬が患者さんの病状に応じて使用されます。
・ホルモン療法
ホルモン受容体が陽性のタイプの乳がんに対して、ホルモンの作用を抑える薬を使用します。
・分子標的薬
がん細胞だけが持つ特定の分子を狙って攻撃する薬です。副作用が少ないことが特徴です。
・化学療法
抗がん剤を使用して全身のがんを攻撃します。
・免疫療法
免疫チェックポイント阻害薬を用いる治療で、患者さん自身の免疫の力でがんを攻撃します。
また、骨の破壊を抑え、痛みを和らげるための治療も重要です。骨修飾薬(骨の吸収を抑制する薬)や、骨転移している部位に放射線を照射して痛みを緩和する方法が行われます。
治療後の生活とサポート
骨転移の治療は長期間にわたることが多いです。治療後も、再発や転移の不安はなくなりませんが、適切なサポートとケアを受けることで、自分らしい生活を続けることが可能です。
・痛みの緩和
痛みは治療の妨げになるだけでなく、生活の質を大きく低下させます。
痛みは我慢せず、医師や緩和ケアチームに相談し、適切な痛み止めを使用することが大切です。
・運動とリハビリ
骨折のリスクに注意しながら、適切な運動やリハビリを行うことで、筋力を維持し、身体の機能を保つことができます。
・相談できる場所
治療の不安や生活の悩みは、一人で抱え込まず、医療スタッフやがん相談支援センターに相談してください。
無料で利用できる電話相談などもあります。
おわりに
乳がんの骨転移は、決して珍しいことではありません。適切な診断と治療を行うことで、痛みをコントロールし、活動的な生活を送ることが可能です。治療の選択肢や予後は、患者さん一人ひとりの状態によって異なります。疑問や不安は、遠慮なく医師に相談し、納得のいく治療方針を見つけていくことが大切です。
