2025.11.13

抗がん剤副作用のむくみ対策。安心して過ごすためのヒント

足のむくみを気にする女性

がん治療は、病気と闘うための希望の光ですが、同時に体にはさまざまな負担がかかります。その一つが、多くの方が経験する「むくみ(浮腫)」です。

足がパンパンになる、指輪が抜けない、体が重だるい……。こうした予期せぬ変化は、治療へのモチベーションを下げたり、日常生活にストレスを与えたりすることもあります。

このコラムでは、がん治療とむくみの関係、日常生活でできる具体的な対策、そして医療者への相談の仕方について、安心して前向きに取り組めるよう、わかりやすく解説します。

むくみと上手に付き合い、治療を乗り切るためのヒントを一緒に見ていきましょう。

疑問がある人々

がん治療にはさまざまな副作用がありますが、その中でも「むくみ(浮腫)」に悩まされる患者さんは少なくありません。足や手がパンパンに腫れる、顔がむくむ、靴がきつく感じるといった症状が、治療中や治療後に現れることがあります。

むくみとは何か?

むくみとは、体の中の水分バランスが崩れ、皮膚の下に余分な水分がたまった状態を指します。医療用語では「浮腫(ふしゅ)」とも呼ばれます。がん治療中は、薬の影響、リンパ節の切除、運動不足、栄養状態の変化など、さまざまな要因が重なってむくみが起きやすくなります。

なぜがん治療でむくみが起こるのか?

抗がん剤には血管の透過性を高めたり、腎臓に影響を与える薬剤もあります。また、乳がん・婦人科がん・前立腺がん・頭頸部がんなどでは、治療でリンパ節を切除したり、放射線がリンパの流れに影響を与えたりすることもあります。

その結果、体内のリンパ液や血液の流れが滞り、水分がうまく排出されずにむくみが生じます。

チェックリストとルーペ

むくみは自覚しづらいこともありますが、次のような症状があるときは注意が必要です。

よくある症状

  • 足や手が腫れて太く見える
  • 靴や指輪がきつくなる
  • 皮膚がつっぱった感じがする
  • 押すとへこみが戻らない(圧痕)
  • 疲れやすくなる、だるさが抜けない

むくみは体の一部だけに起こることもあれば、全身に及ぶこともあります。特に「片側だけが腫れる」「急にむくみが悪化する」といった場合は、血栓や感染症など他の問題が隠れている可能性もあるため、すぐに医療者へ相談しましょう。

むくみを医師に相談する女性

医師に伝えたい内容

診察時には、以下のような情報を医師に伝えると、原因の特定や適切な対応につながります。

  • むくみが出始めた時期
  • むくみの場所(左右差があるか)
  • 痛みやしびれの有無
  • 生活にどのような支障があるか
  • 体重の増減や排尿の変化

処方されることがある薬

症状によっては、以下のような薬が処方されることがあります。

  • 利尿薬(むくみの水分を排出)
  • ステロイド(炎症やアレルギー反応を抑える)
  • 漢方薬(体質改善や水分代謝の調整)

ただし、むくみの原因によっては薬が逆効果になることもあるため、自己判断で市販薬を使うことは避け、必ず医師の診断を受けましょう。

ストレッチする女性

がん治療中にむくみが出たとしても、日々の生活の中で工夫できることがあります。無理のない範囲で取り入れてみましょう。

身体を動かすことの大切さ

長時間同じ姿勢でいると、リンパや血液の流れが滞り、むくみやすくなります。座りっぱなしを避け、1時間に1回は体を動かすよう心がけましょう。

腕や脚を軽く回す、足首を上下に動かす、深呼吸をするなど、軽い運動でも十分効果があります。体調に合わせて無理のない範囲で続けてみてください。

圧迫療法とスキンケア

医療用の弾性スリーブやストッキングは、適切に使用することでむくみの悪化を防ぐことができます。着脱のタイミングや圧の強さについては医師やリンパ浮腫指導士に相談を。

また、皮膚が乾燥すると感染リスクが高まり、むくみが悪化しやすくなります。毎日の保湿ケアを大切にし、虫刺されや傷にも注意しましょう。

食事からのアプローチも大切に

「食べること」は、むくみ対策にもつながります。体にやさしい食事を意識することで、むくみを和らげるだけでなく、治療中の栄養管理にも役立ちます。

食事でのむくみ対策のポイント

  • 塩分を控える:塩分の多い食事は、体に水分をためこみやすくします。出汁や香味野菜を使うことで、減塩でもおいしくいただけます。
  • カリウムを含む食材をとる:カリウムは、余分なナトリウムを体外に排出する働きがあります。バナナ・かぼちゃ・ほうれん草などがおすすめです。
  • たんぱく質をしっかりとる:たんぱく質不足はむくみの原因になります。大豆製品や卵、白身魚など、消化の良いたんぱく質源を取り入れてみましょう。
  • こまめな水分補給:水を控えるのではなく、少量ずつこまめにとることがポイントです。

むくみ対策におすすめのレシピ3選

かぼちゃと小松菜の白ごまあえ

カリウム+食物繊維が豊富でむくみ対策に◎

材料(2人分)

  • かぼちゃ:150g
  • 小松菜:1/2束
  • 白すりごま:大さじ1
  • しょうゆ(減塩):小さじ1
  • 砂糖:小さじ1
  • だし(顆粒でもOK):少々

作り方

  1. かぼちゃは一口大に切り、柔らかくゆでる(または電子レンジ加熱)
  2. 小松菜はさっとゆでて水気をしぼり、3cm長さに切る
  3. ボウルにごま、しょうゆ、砂糖、だしを混ぜ、①②をあえる

鶏ささみと豆腐の生姜スープ

たんぱく質+温活でむくみに強い体をサポート

材料(2人分)

  • 鶏ささみ:2本
  • 絹ごし豆腐:1/2丁
  • しょうが(すりおろし):小さじ1
  • だし汁:400ml
  • しょうゆ(減塩):小さじ1
  • 小ねぎ:少々

作り方

  1. ささみは筋をとってゆで、食べやすくほぐす
  2. 鍋にだし汁を沸かし、豆腐をスプーンで落として入れる
  3. ささみとしょうがを加えて軽く煮て、しょうゆで味をととのえる
  4. 小ねぎをちらして完成

バナナと豆乳のカリウムスムージー

朝のむくみ対策や、食欲がないときの栄養補給に◎

材料(1人分)

  • バナナ:1本
  • 無調整豆乳:150ml
  • はちみつ:小さじ1(お好みで)
  • 氷:数個

作り方

  1. すべての材料をミキサーにかけて完成
    ※糖分の制限がある方は、医師に相談してください

むくみは見た目や不快感だけでなく、精神的にもストレスになることがあります。しかし、正しく対処すれば改善が見込めることが多く、安心して治療を続けるための大切なポイントにもなります。

自己判断でのケアだけではなく、医師や看護師、リンパ浮腫指導士、栄養士などの専門職に相談することがとても重要です。

一人で悩まず、信頼できる医療チームとともに、「今の自分にできること」から少しずつ始めていきましょう。

監修医 医学博士 上羽 毅

監修医

医学博士

上羽 毅

私は医師として日々の診療にあたる中で、患者さんが抱える「治療に対する不安」や「治療への向き合い方」などの声を多く耳にしてきました。
そのような経験から、このサイトでは信頼性を第一に、最新の医学的知見や治療方針をもとに内容を確認・監修しています。専門的な部分を分かりやすく伝えることを心がけ、読者の方が正しい知識をもとに前向きに治療へ臨めるよう願っています。