徹底解説!悪性リンパ腫の生存率を左右する要因と対策
悪性リンパ腫という病名を聞いたとき、多くの患者さんやそのご家族が抱くであろう不安の一つに、「この病気はどのくらい治るのだろうか」という思いがあるかもしれません。その答えを探す中で、「生存率」という言葉を目にする方も少なくないでしょう。しかし、生存率という数字は、時に一人ひとりの患者さんの状況や未来と結びつけることが難しく、かえって不安を増してしまうことがあります。
このコラムでは、悪性リンパ腫の生存率について、その定義や、どのような要因によって左右されるのかを分かりやすく解説します。また、最新の治療法が生存率に与える影響や、日々の生活の中でできることについても触れ、漠然とした不安を解消し、希望を持って治療に臨むための情報を提供します。
悪性リンパ腫とは?定義と基本情報

悪性リンパ腫の定義
悪性リンパ腫は、血液のがんの一種です。血液中のリンパ球ががん化して増殖し、リンパ節やリンパ組織の腫れとして症状が出ることが多いのが特徴です。リンパ節は全身にあるため、悪性リンパ腫はどの臓器や部位にも発生する可能性があります。
ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の違い
悪性リンパ腫は、大きく分けて「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の2種類に分類されます。
- ホジキンリンパ腫は、日本の悪性リンパ腫全体の約3%から6%を占める比較的珍しい病気です。若年者(20歳代)と高齢者(50歳以上)に多いという特徴があります。
- 非ホジキンリンパ腫は、悪性リンパ腫の多くを占め、さらに70以上の病型に細かく分類されます。日本人では「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」や「濾胞性リンパ腫」などが多いと報告されています。
悪性リンパ腫は、種類によって進行の速さや治療法、予後が大きく異なるため、診断の際にどのタイプかを正確に調べることが非常に重要です。
悪性リンパ腫の主な症状と早期発見の重要性

悪性リンパ腫の主な症状
悪性リンパ腫の初期の症状は、風邪や他の病気と似ているため、見過ごされやすいことがあります。特に、以下のような症状には注意が必要です。
- 首や脇の下、足の付け根などのリンパ節が腫れ、痛みがない
- 発熱が2週間以上続き、原因が不明
- 寝ている間に多量の汗をかく(寝汗)
- 体重が半年で10%以上減少
これらの症状がある場合、悪性リンパ腫の可能性も考えられるため、病院で医師に相談し、検査を受けることが大切です。
早期発見と生存率の関係
悪性リンパ腫は、早期に発見し、適切な治療を行えば、完全に治る可能性が高い病気です。進行した状態で見つかった場合でも、効果的な治療法が多くあるため、あきらめる必要はありません。しかし、早期に治療を開始することで、身体への負担が少なく、より高い生存率が期待できます。
悪性リンパ腫のステージ分類と生存率

悪性リンパ腫のステージ分類
悪性リンパ腫の進行度は、主に「アンアーバー分類」という方法で評価されます。この分類は、がんがどの部位にあるか、そしてリンパ節以外の臓器に転移しているかどうかを確認して行います。
- ステージI: リンパ節の1つの部位に限局している状態。
- ステージII: 横隔膜を挟んで体の片側(上側または下側)の2つ以上のリンパ節領域に病変がある状態。
- ステージIII: 横隔膜の上下両側に病変がある状態。
- ステージIV: リンパ節以外の臓器(骨、肺、肝臓など)に広範囲に転移している状態。
ステージ分類と生存率の関係
一般に、ステージが低いほど5年生存率は高く、ステージが高いほど5年生存率は低い傾向にあると言われています。しかし、これはあくまで統計上のデータであり、患者さん自身の年齢や健康状態、がんのタイプなど、さまざまな要因によって予後は異なります。5年生存率が高くないと言われるステージIVでも、治癒が期待できるケースも少なくありません。
悪性リンパ腫の生存率の概要

生存率の概要
生存率は、どの病気にも用いられる指標ですが、悪性リンパ腫においては特にタイプごとの違いが大きいです。ここでは、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫、そしてそれぞれの主な病型ごとの生存率の傾向を解説します。なお、これらのデータは過去の治療法に基づくものであり、現在は治療法の進歩によってさらに向上している可能性があることをご理解ください。
ホジキンリンパ腫の生存率
ホジキンリンパ腫は、適切な治療によって高い治癒が期待できるタイプです。日本のデータ(国立がん研究センターがん情報提供サービスなど)によると、ステージIからIVまでの全症例を合わせた5年生存率は約76%と報告されています。ステージ別に見ると、早期のステージIでは90%以上と高い生存率が期待できますが、進行したステージでは生存率が低下する傾向にあります。
非ホジキンリンパ腫の生存率
非ホジキンリンパ腫は、種類が多いため、全体としての生存率を語ることは難しいです。しかし、それぞれの病型に応じた治療法が確立されています。
- びまん性大細胞型B細胞リンパ腫: 進行が速いタイプですが、抗がん剤治療(R-CHOP療法など)が非常に効果を示し、多くのケースで寛解が得られます。5年相対生存率は全体で約60%台と言われています。
- 濾胞性リンパ腫: 進行が遅いタイプで、治療を行わずに経過を見る場合もあります。治療が奏効しやすく、10年生存率が高いことが知られています。
生存率に影響を与える要因

年齢や健康状態との関係
生存率には、年齢や患者さん自身の健康状態が大きく影響します。高齢の患者さんは、治療の副作用に対する身体の機能が低下していたり、他の合併症を持っていることがあるため、治療の選択肢が限られる可能性があります。しかし、近年は高齢者(高齢者)向けの治療法も確立され、より身体に負担の少ない治療を選択できるようになっています。
治療法別の生存率
悪性リンパ腫の治療法は、病気のタイプや進行度に応じて様々です。治療方法は、単独で行われることもあれば、化学療法と放射線治療を併用することもあります。適切な治療を行うことで、生存率は大きく向上します。例えば、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい薬の登場により、従来の治療では効果が得られにくかった患者さんでも、高い奏効が期待できるようになりました。
再発率と生存率の関係
悪性リンパ腫は、治療が終了した後でも再発する可能性があります。再発は、生存率に影響を与える重要な要因の一つです。しかし、再発した場合でも、適切な治療を受けることで、再び寛解を目指せるケースも多く、長期的な生存が可能です。
悪性リンパ腫の治療法

悪性リンパ腫の治療法は、病気のタイプによって異なります。医師は、患者さんの状態を確認し、最適な治療方法を選択します。
薬物療法の詳細
薬物療法は、悪性リンパ腫の治療の中心となる法です。抗がん剤治療と分子標的薬治療が主なものとなります。
- 抗がん剤治療: 入院または外来で行われます。多くの場合、複数の抗がん剤を組み合わせて投与されます。
- 分子標的薬: がん細胞特有の分子を狙って作用する薬で、抗がん剤と併用して使用されることが多いです。
放射線療法の詳細
放射線治療は、がんが限局している場合や、症状を和らげる目的で行われます。抗がん剤治療と組み合わせて行われることもあります。
造血幹細胞移植の役割
再発した場合や、治療が難しいタイプの悪性リンパ腫に対して造血幹細胞移植が検討されます。自分自身の幹細胞を使用する「自家移植」と、他人の幹細胞を使用する「同種移植」があります。
免疫細胞療法の選択肢
免疫療法は、患者さん自身の免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。特に、近年登場したCAR-T細胞療法は、再発・難治性の特定の悪性リンパ腫に対して高い効果が期待されています。
化学療法の副作用と生存率
抗がん剤治療には、副作用が伴う可能性があります。吐き気や倦怠感、白血球の減少による感染症のリスクなどが挙げられます。しかし、近年は副作用を軽減する薬も増えており、適切な対処を行うことで、治療を継続し、生存率を向上させることが可能です。
治療後のケアと患者のQOL

治療後のケア
治療が終了した後も、再発や晩期合併症を確認するため、定期的な検査が必要です。医師の指示に従い、定期通院を行うことが非常に重要です。
患者のQOLと生存率の関係
生活の質(QOL)を保つことは、治療を継続し、生存率を向上させる上で重要です。患者さんの身体的な痛みや精神的な不安を和らげる「緩和ケア」は、診断された時から利用することができます。
悪性リンパ腫に関する統計情報

統計情報と罹患率
日本では、悪性リンパ腫の罹患数は年々増加傾向にあります。1年間に診断される人の数は、約3万人と報告されています。
年齢層別の罹患状況
悪性リンパ腫は、どの年齢でも発症する可能性があります。ホジキンリンパ腫は若年者に多い傾向がありますが、非ホジキンリンパ腫は高齢者に多い病気です。
地域別の死亡率
がん情報サービスが提供するデータでは、がん罹患率や死亡率の地域別データを調べることができます。これらのデータは、患者さん自身の状況を比べるものではなく、あくまで参考として見ることが重要です。
治療に対する希望と心構え

治療に対する希望
悪性リンパ腫の治療は、日進月歩で進歩しています。新しい治療法や薬が次々に開発されており、以前は難しかったタイプの病気でも、治る可能性が高くなっています。5年生存率という数字だけでなく、医師としっかり話し合い、ご自身にとって一番いい治療法を選択することが大切です。
セカンドオピニオンの重要性
治療方針に不安を感じたり、別の医師の意見も聞いてみたいときは、遠慮なくセカンドオピニオンを受けることが重要です。当サイトでも、セカンドオピニオンに関する情報を提供しています。
→ 乗り越えたからこそ伝えたい「悪性リンパ腫克服者の声」はこちら
悪性リンパ腫に関するよくある質問
悪性リンパ腫は治るのか?
悪性リンパ腫は、タイプや進行度によっては完全に治ることが期待できる病気です。治療が奏効し、寛解に至った後、再発せずに経過すれば治癒と考えられます。
悪性リンパ腫の転移と生存率
悪性リンパ腫は、血液のがんであるため、全身に転移する可能性があります。転移がある場合でも、抗がん剤治療によって治癒が期待できるケースは多く、大腸がんや肺がんなど、他の固形がんの転移とは異なる性質を持つと考えられます。
悪性リンパ腫の予後
予後は、病気の種類、患者さんの年齢、全身の状態、がんの進行度など、さまざまな要因によって左右されます。医師とよく相談し、適切な治療と日々のケアを行うことが、良い予後につながります。
