2025.11.07

がん患者のセルフケア。ストレッチと軽い運動で心と体を整えよう!

ストレッチを行う男女

がんと診断されたとき、多くの人が感じるのは不安や孤独、そして「これからどうなるんだろう」という漠然とした思いではないでしょうか。

治療に向き合う毎日は決して簡単ではありません。でも、そんな日々の中でも、自分のペースで心と身体を整える方法があります。

それが、ストレッチや軽い運動です。

筋力低下を相談する女性

がん治療では、抗がん剤、放射線治療、手術などにより、筋力や体力の低下、疲労感、痛み、血液や免疫機能への影響など、さまざまな症状が現れる可能性があります。治療後も、後遺症や生活機能の低下がみられるケースもあります。

その一方で、運動はこうした状態の改善・予防・生活の質(QOL)の向上に役立つと、多くの研究で示されています。

国立がん研究センターや日本の運動ガイドラインでも、がん患者への身体活動の維持が推奨されています。

運動・ストレッチの効果とは?

運動には、筋力維持、心肺機能の改善、便秘や血流の改善、気分の向上など、身体・精神両面への効果があります。

特に、軽いストレッチや有酸素運動には以下のような利点があります。

  • 筋力・体力の維持
    動かすことで筋萎縮や体力低下を防ぐ
  • 痛みの緩和
    関節や筋肉の柔軟性が上がることで症状が緩和される可能性
  • 気分の改善
    運動によって脳内の神経伝達物質が分泌され、気持ちが前向きになる
  • 免疫機能のサポート
    軽度な有酸素運動が免疫活動に好影響を与える場合もある
ストレッチを行う女性

まずは心と体を整える準備

まず、「自分の状態に合わせて無理なく」が基本です。

運動は頑張るためのものではなく、心地よく過ごすためのケア。医療者に相談しながら、少しずつ始めましょう。

【運動の目安】
・週3〜5回、1回15〜30分程度
・痛みや息切れなどの症状が出たら中止
・体調の良い時間帯を選んで実施

おすすめストレッチメニュー(1日3回が理想)

・首・肩のストレッチ(朝におすすめ)
・首を左右に倒す(各5秒×3回)
・肩をすくめて脱力(5回)
・両腕を前に伸ばして肩甲骨を動かす(10秒キープ×2セット)

・腰・背中のストレッチ(昼や活動前)
・背筋を伸ばして椅子に座り、前屈(15秒キープ)
・ベッド上で膝を抱えた姿勢(10秒×2セット)

脚のストレッチ(夜や入浴後)
・仰向けで片脚ずつ曲げ伸ばし(左右各10回)
・足首を回す(左右各5回)

軽い運動メニュー(屋内でも可能)

・歩行運動
週3〜5回、1回10〜30分程度
 → 室内やベランダでもOK! 疲れたらすぐ休憩しましょう。

椅子に座ってできるエクササイズ
・手足の上下運動(各10回)
・太もも持ち上げ運動(片脚ずつ10回)
・腕を広げながら深呼吸(3回)

有酸素運動(体調が良い日の選択肢)
ゆっくりしたラジオ体操や音楽に合わせて動く
 → 初めは5〜15分程度から。気分転換にも効果的

続けるコツと家族の支援

とはいえ、すぐに運動を習慣化するのはなかなか難しいことです。

以下のことを意識して行うと、継続しやすいかもしれません。

・運動日記をつける
・家族と一緒に取り組む
・目標を「毎日動く」ではなく「週に数回少しでも動く」に

家族の「一緒にやってみよう」という声かけが、患者さんの気持ちの支えになることもあります。

また、家族自身も運動することで、疲労やストレスの軽減につながるでしょう。

がんとの向き合い方に、正解はありません。大切なのは、今の自分にできることを一歩ずつ実践すること。

ストレッチや軽い運動は、体だけでなく心を整える「やさしい時間」になってくれるはずです。

このコラムが、あなたが「自分らしく生きる」ためのヒントになれば嬉しいです。

監修医 医学博士 上羽 毅

監修医

医学博士

上羽 毅

私は医師として日々の診療にあたる中で、患者さんが抱える「治療に対する不安」や「治療への向き合い方」などの声を多く耳にしてきました。
そのような経験から、このサイトでは信頼性を第一に、最新の医学的知見や治療方針をもとに内容を確認・監修しています。専門的な部分を分かりやすく伝えることを心がけ、読者の方が正しい知識をもとに前向きに治療へ臨めるよう願っています。