【便利アイテムリスト付き】がん患者と家族の入院準備ガイド
「入院します」と告げられたとき、誰もが心の中で静かに動揺します。
たとえそれが検査目的の一泊入院であっても、がん治療に向けた抗がん剤の短期入院であっても、あるいは体調の悪化による長期入院であっても、病院という場所は少なからず不安と緊張を呼び起こします。
入院は、がん患者さんにとって治療の一環であり、療養のための時間でもあります。
病院はただ“治す”だけの場ではなく、もうひとつの日常を営む場所であるとも言えます。検査や診断、手術の前後、薬物療法や放射線治療の合間など、それぞれが異なる目的のための時間であり、どの瞬間にも「生活」があります。
短期間の検査入院でも、病院の室内で過ごす時間がある限り、自分らしい過ごし方や気持ちの持ち方が大切になります。また長期入院になる場合は、小さな習慣や心のリズムを整えることが、入院生活の安定につながります。
今回のコラムでは、そんな入院生活が少しでも穏やかに過ごせるよう、どんな入院スタイルにも寄り添ったヒントや工夫をご紹介します。
入院の目的別に見る生活スタイル

検査入院
診断に必要な血液検査や画像検査、内視鏡検査などが主な目的。
通院と異なり、院内で一連の検査を受けるため、1日~数日滞在するケースが多いです。
検査の合間は自由時間も多いため、不安な気持ちを和らげる助けになるもの(読書、音楽、ぬり絵など)を準備するとよいでしょう。
抗がん剤治療のための短期入院
化学療法や免疫療法を安全に受けるために数日から1週間程度の入院が必要になることがあります。
副作用(吐き気・倦怠感など)への対応や感染症予防のため、無理のない生活ペースが重要です。
医師や看護師への相談のタイミングを逃さず、自分の状態を伝えることも大事です。
長期入院
肺がんや乳がん、大腸がんなど、腫瘍の進行に応じて手術後の回復や緩和ケアのため、長期の療養が必要になる方もいます。
治療だけでなく、心のケアも欠かせません。セカンドオピニオンの利用や家族との連携、がん相談支援センターでの情報収集・支援活用も助けになります。
入院生活の工夫
入院中は、病気の影響や薬の副作用によって気分や体調に波があることが多くあります。「元気なとき」と「休むべきとき」を自分なりに見つけて、無理をしないペース配分を心がけましょう。
1日のスケジュールに合わせて、食事の後は少し音楽を聴く、診療の合間にゆっくり本を読むなど、小さなリズムを持つと気持ちが整います。また、患者同士のふれあいや、看護師さんとのちょっとした会話も、気持ちの支えになることがあります。
通院と違って、入院は「孤独」を感じやすい時間です。面会制限のある時期は、家族との連絡手段(電話、LINE、手紙など)を活用してつながっている実感を持ちましょう。
入院生活にあると便利なアイテム

入院生活では、体調の変化や病院特有の環境によって、「こんなとき不便だな」「あれがあれば助かるのに」と感じる場面が多くあります。病院での生活が少しでも快適に、そして安心して過ごせるよう、あると役立つ持ち物をご紹介します。
生活の中の小さな困りごとに対応するアイテム
・快眠をサポートするもの
病院では、夜間も看護師の見回りや機器の音などで眠りづらいことがあります。
アイマスク・耳栓:消灯後の照明や音を遮断し、休息の質を高めます
柔らかい枕カバーやブランケット:慣れないベッドでの睡眠を少し快適に
・ベッドまわりの工夫
入院中は点滴や検査などで、体を大きく動かすのが難しい場面も。
長めの充電ケーブル・延長コード:スマホやタブレットを枕元で使いたいときに便利
小さなポーチや収納ケース:頻繁に使うものを手元に置くための工夫に
・感染予防・衛生管理に
がん治療中は免疫力が低下することもあり、感染症への配慮が欠かせません。
ウェットティッシュ・アルコールスプレー:手指の清潔を保つために
使い捨てのマスク(複数枚):来客や検査など、人と接する場面に備えて
・衣類の選び方と工夫
入院中は着替えや体温調整が難しいこともあるため、機能性のある衣類が安心です。
前開きのパジャマや部屋着:点滴や診療に対応しやすく、着替えも楽
羽織りもの・靴下:冷えやすい環境で体調管理に役立つ
・入浴・洗面時の準備
病棟によってはシャワー設備や洗面用品が限られていることも。
コンパクトな洗面セット:歯ブラシ、フェイスタオル、洗顔料などの清潔アイテム
スリッパ(滑りにくい素材):移動時や水まわりでの安全対策に
・情報整理・医療コミュニケーションに
主治医や看護師との会話は治療に大きく関係します。記録しておくと後々役立つことも。
ノート・ペン:薬の名前、検査の結果、症状の変化を記録。質問メモとしても便利
お薬手帳・診療記録の控え:外来受診や他科との連携時にも役立つ大切な情報源
・手続きや連絡の備えに
病院での費用の支払いや、緊急時の連絡体制にも配慮を。
健康保険証・限度額適用認定証:医療費負担を軽減できる制度利用のために必要
緊急連絡先のメモ:いざという時、病院側がすぐ対応できるように
・家族との連絡や外部支援への備え
面会できないときでも「つながり」を感じられるアイテムは心の支えになります。
スマートフォン・タブレット:家族や支援者とのコミュニケーションに
がん相談支援センターの案内ページの控え:情報の確認や相談の際にすぐアクセスできるように
これらの持ち物は、「あったら便利」なだけでなく、「不安や困りごとを和らげる」存在にもなります。
入院の目的や期間、患者さん自身の状況に合わせて、参考にしてください。
病院でのコミュニケーションと注意点

診療科や部門によって対応は異なりますが、医師・看護師との連携は入院生活の要です。体調の変化や薬の影響、症状について「自分でうまく説明できるか不安」という方も多いですが、看護師さんはその“わかりにくさ”も理解してくれる存在です。
対応のタイミングや質問のしかたなど、遠慮せずに「今こう思っている」と話すことが、医療側との信頼関係につながります。また、感染症予防の観点から、手洗いやマスクの利用、室内での過ごし方には一定のルールがあります。病院からの案内や掲示を確認しながら、自分と他の患者さんの両方を守る行動を大切にしましょう。
おわりに
入院という時間は、誰にとっても日常から大きく環境が変わる特別な経験です。短期であっても長期であっても、生活のリズムや持ち物の準備ひとつで過ごしやすさは大きく変わります。
本コラムでは、入院の形態ごとの違いや、あると便利な持ち物を整理しました。少しでも不安を減らし、安心して療養に集中できるようにとの思いを込めています。もちろん、病院ごとにルールや環境は異なりますので、最終的には主治医や看護師に確認することが大切です。
入院生活は決して楽なものではありませんが、工夫や準備によって「自分らしい時間」を取り戻すことができます。このコラムが、患者様やご家族の一助となり、日々を少しでも穏やかに過ごすためのヒントになれば幸いです。
