2026.01.16

悪性リンパ腫で現れる発疹の種類と症状を詳しく解説

腕をかく様子

皮膚に発疹や紅斑、しこりなど通常とは異なる症状を発見した場合、悪性リンパ腫という深刻な疾患が隠れている可能性があります。

悪性リンパ腫はリンパ組織や血液中のリンパ球ががん化し、全身および皮膚に多様な症状をもたらします。しかし、正しい知識を持つことで、早期発見・迅速な診断・適切な治療につなげやすくなります。

ここでは皮膚症状を伴う悪性リンパ腫について、その定義や発生メカニズムから、症状の特徴、診断・治療、生活上の注意点まで解説します。

空と日差し

悪性リンパ腫の定義と種類

悪性リンパ腫は、免疫機能を担うリンパ球が何らかの原因で悪性化し、異常な細胞増殖を引き起こす疾患です。

リンパ腫は主にリンパ組織や血液中に腫瘍として現れ、全身の臓器や皮膚、骨髄などさまざまな部位に病変を生じることがあります。

日本の成人にみられるがんの中でも比較的頻度が高く、男女問わず発症しますが、やや男性に多い傾向が指摘されています。

悪性リンパ腫は、発生する細胞の種類によりいくつかの型に分類されます。大きく分けて以下の2つがあります。

・B細胞リンパ腫
 → 白血球の一種であるBリンパ球由来の腫瘍で、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫や濾胞性リンパ腫などが代表的です。
   日本でも発症例が多いです。
・T細胞リンパ腫
 → Tリンパ球ががん化したもので、皮膚に斑や発疹を伴う菌状息肉症、セザリー症候群、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)などが含まれます。
   まれに湿疹やしこりとして現れる場合もあります。

それぞれの種類ごとに症状や進行、患者の状態に違いが見られるため、診断時の分類が非常に重要となります。

悪性リンパ腫の発生要因

悪性リンパ腫は、リンパ組織の細胞が悪性化し増殖する疾患です。

発症の背後にはさまざまな要因が存在しますが、主に以下のメカニズムが関与しています。

・リンパ球の遺伝子異常による腫瘍化
 → リンパ球のDNAに変化が起こると、細胞の増殖や寿命を調整する仕組みが乱れ、制御不能に増えることで腫瘍化します。
・ウイルス感染や遺伝的素因の影響
 → EBウイルスやHTLV-1などのウイルスはリンパ球に影響を与え、異常な増殖を促すことがあります。
   また、もともとの体質が発症リスクに関わる場合もあります。
・環境要因(紫外線・化学物質・免疫低下)
 → 紫外線や化学物質への長期曝露、加齢やストレスによる免疫力低下は、細胞の異常を見逃しやすくし、発症のリスクを高めます。
・免疫抑制剤の使用や自己免疫疾患の存在
 → 免疫抑制剤を長期間使用している場合や、自己免疫疾患がある場合、体が異常細胞を排除する力が弱まり、腫瘍が発生しやすくなります。
・慢性的な感染や生活習慣の影響
 → 慢性的な炎症や感染、不規則な生活習慣が続くと、リンパ球に負担がかかり、異常増殖を助長することがあります。

これらの要因が複雑に絡み、リンパ球の増殖異常とアポトーシス(細胞死)の減少が進行して腫瘍化します。

リンパ腫はB細胞由来やT細胞由来など種類が多く、発生メカニズムには細胞系列ごとの特性も関わります。

日本国内では高齢化や生活習慣の変化により、患者数が増加傾向にあります。

立ち眩みを覚えて頭を押さえる女性

一般的な初期症状

悪性リンパ腫の初期には、次のような体の変化があらわれることがあります。

・リンパ節の腫れ
 → 首・脇の下・足の付け根などに、しこりのようなふくらみが触れることがあります。
   多くの場合、痛みはありません。
・痛みのないしこりや硬さ
 → 皮膚の下にコリッとした固まりを感じることがあります。
・微熱や発熱が続く
 → 風邪のような症状がなくても、長く微熱が続くことがあります。
・体重が減る、強い疲れや寝汗が出る
 → 食事量が変わっていないのに体重が減ったり、夜に汗をかいて目が覚めることがあります。
・皮膚の変化
 → 赤み(紅斑)、発疹、湿疹のような症状、皮膚のしこりなどが見られることがあります。
・貧血や出血しやすくなる
 → 立ちくらみが増えたり、あざができやすくなることがあります。

これらの症状は、悪性リンパ腫だけでなく他の病気でも起こる一般的な症状です。

ただし、2週間以上続くリンパ節の腫れや、原因が思い当たらない体の変化がある場合は、早めに医療機関で相談することが大切です。

皮膚に現れる症状と発疹

悪性リンパ腫の中には、皮膚の症状が初期からあらわれるタイプもあります。

・赤い斑点や盛り上がった発疹
 → 皮膚に赤みが出たり、ポツポツとした発疹が見られることがあります。
・かゆみや湿疹のような症状
 → 一見すると普通の湿疹に見えるため、最初は気づきにくいことがあります。
・皮膚のしこりや腫れ
 → 経過とともに、最初は薄い赤みだった部分が、硬いしこりや腫瘤(こぶのようなふくらみ)に変化することがあります。

菌状息肉症やセザリー症候群などの皮膚リンパ腫では、こうした多様な皮膚の変化が特徴です。

ただし、見た目が一般的な湿疹とよく似ているため、長く続く皮膚症状がある場合は、早めに皮膚科や専門医に相談することが大切です。

かゆみで赤くなっている手

発疹の種類と見た目

悪性リンパ腫では、皮膚にさまざまなタイプの発疹があらわれることがあります。

見た目の特徴は次のようなものです。

・紅斑(赤みのある平らな斑点)
 → 皮膚がうっすら赤くなったり、シミのように見えたりすることがあります。
・丘疹(少し盛り上がった小さな発疹)
 → ポツポツとした小さなふくらみが出ることがあります。
・湿疹のように広がる発疹
 → かゆみを伴い、一般的な湿疹と区別がつきにくいことがあります。
・結節や腫瘤(硬いしこり)
 → 触るとコリッとした硬さがあり、時間とともに大きくなることがあります。
・瘤状・腫瘍状に進行することも
 → 症状が進むと、こぶのように盛り上がる場合があります。
・全身のかゆみを伴うことがある
 → 発疹の有無に関わらず、強いかゆみが続くこともあります。

菌状息肉症などの皮膚リンパ腫では、最初は赤い発疹だったものが、徐々に硬いしこりや腫瘤へ変化することが特徴です。

発疹の色・大きさ・出る場所は、リンパ腫の種類によって異なります。

長く続く皮膚の変化がある場合は、早めに皮膚科や専門医に相談することが大切です。

発疹が現れる部位

皮膚リンパ腫による発疹は、体幹・四肢・顔・頭皮など全身あらゆる部位に生じます。

特に皮膚T細胞リンパ腫では、体幹や腕、足など広い範囲に発症することが多いです。

一部の皮膚B細胞リンパ腫は、頭皮や顔面、上肢などに限局して見られることもあります。

発疹の出現部位や数、形態も鑑別に重要です。

血液検査の容器と聴診器

血液検査と画像診断

診断の第一歩は血液検査です。白血球数やリンパ球の増減、貧血、肝・腎機能、腫瘍マーカーなどを評価し、全身状態をチェックします。

異常が認められた場合は、より詳細な画像診断へ移行します。超音波検査、CT、MRI、PETなどを活用し、腫瘍の大きさや全身への広がり・臓器浸潤を調べます。

状況によっては骨髄検査も実施し、病変の全体像を把握します。

これらの検査データを組み合わせ、病気の進行度(ステージ)を正確に判断します。

皮膚生検の重要性

皮膚に発疹やしこり、腫瘤などが確認された場合、生検が必要です。

生検した組織を顕微鏡で詳しく調べ、リンパ腫細胞の有無や特徴、細胞の種類(B細胞型かT細胞型か)などを判定します。

また、免疫染色や遺伝子検査を行い、同定精度を高めます。

皮膚の生検結果が悪性リンパ腫の確定診断に不可欠であり、専門医療機関での対応が求められます。

高齢患者と話す医師

悪性リンパ腫における発疹の原因と種類

悪性リンパ腫では、がん化したリンパ球が皮膚の中で増えることによって、さまざまな発疹や皮膚の変化があらわれます。

主なタイプには次のようなものがあります。

・菌状息肉症
 → 初期は赤い斑点(紅斑)が続き、進行すると盛り上がった瘤(こぶ)のような状態に変化することがあります。
・セザリー症候群
 → 全身に広がる赤みや発疹が特徴で、強いかゆみを伴うことが多く、慢性的に続きます。
・成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
 → 赤み、結節(硬いしこり)、腫瘤など、多様な皮膚症状がみられるタイプです。
・皮膚B細胞リンパ腫
 → 頭皮・顔・腕や脚などに、しこりや腫瘤として現れることが多いとされています。

これらの発疹は痛みを伴わないことも多いですが、かゆみが続いたり、湿疹のような症状が長引く場合には、皮膚リンパ腫の可能性も考えられます。

一般的な湿疹と見分けがつきにくいため、長く続く皮膚の変化があるときは、早めに皮膚科や専門医に相談することが大切です。

発疹が現れた場合の対処法と注意点

皮膚に発疹や赤みが続くときは、次のような点に気をつけると、受診時の判断にも役立ちます。

・発疹や赤みが2週間以上続く場合は受診を検討する
 → 長く続く皮膚の変化は、皮膚科や内科で相談すると安心です。
・しこりや腫れを無理に触らない
 → 押したり揉んだりすると、症状が分かりにくくなることがあります。
・強いかゆみや痛みがあるときは掻きむしらない
 → 皮膚を傷つけると悪化しやすいため、早めに医療機関へ相談することが大切です。
・皮膚を清潔に保ち、紫外線対策や保湿を心がける
 → 日常のスキンケアが、症状の悪化を防ぐ助けになります。
・症状の変化を写真で記録しておく
 → 発疹の出た場所や変化の様子を残しておくと、診察時に医師へ説明しやすくなります。

皮膚の症状は原因がさまざまで、見た目だけでは判断が難しいこともあります。

気になる変化が続くときは、早めに相談することが安心につながります。

→ 乗り越えたからこそ伝えたい「悪性リンパ腫克服者の声」はこちら

悪性リンパ腫に伴う発疹は、見た目が一般的な皮膚トラブルと似ていることも多く、気づきにくい場合があります。

しかし、皮膚の変化は体からの大切なサインでもあります。

「いつもと違うな」と感じることが続いたときは、ひとりで抱え込まず、早めに医療機関へ相談することで安心につながります。

早期に気づき、適切な診断につながることは、治療の選択肢を広げる助けにもなります。

このコラムが、みなさんがご自身の体の変化に気づくきっかけとなり、必要なときに適切なサポートへつながる一助となれば幸いです。

監修医 医学博士 上羽 毅

監修医

医学博士

上羽 毅

私は医師として日々の診療にあたる中で、患者さんが抱える「治療に対する不安」や「治療への向き合い方」などの声を多く耳にしてきました。
そのような経験から、このサイトでは信頼性を第一に、最新の医学的知見や治療方針をもとに内容を確認・監修しています。専門的な部分を分かりやすく伝えることを心がけ、読者の方が正しい知識をもとに前向きに治療へ臨めるよう願っています。