2025.11.06

悪性リンパ腫の再発率は?再発後の治療と予防策

悪性リンパ腫の再発率は?再発後の治療と予防策

悪性リンパ腫は、多くの患者さんが抗がん剤治療や放射線治療によって寛解に至る病気です。しかし、治療がうまくいき、がんが消えたと診断された後も、「また再発するのではないか」という漠然とした不安を抱える方は少なくありません。

このコラムでは、悪性リンパ腫の再発について、その確率や再発を防ぐための対策、そしてもし再発した場合の治療法まで、医学的根拠に基づいて分かりやすく解説します。再発率はあくまで統計的な数字であり、一人ひとりの状況は異なります。この情報が、皆さまの心の支えとなり、前向きな気持ちで未来を歩んでいくための一助となることを願っています。

問診票の上に聴診器が置かれている様子

悪性リンパ腫の再発率とは

悪性リンパ腫の再発率を一概に言うことはできません。なぜなら、悪性リンパ腫には70種類以上の病型があり、そのタイプによって再発する可能性が大きく異なるからです。

たとえば、多くの患者さんが罹患するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、進行が速い一方で、初回の適切な治療によって高い寛解率が期待できます。しかし、初回の治療がうまくいった後も、一部の患者さんで再発が起こることも知られています。

再発率は、がんのタイプだけでなく、診断時の進行度(ステージ)、年齢、初回の治療に対する反応など、様々な要因によって決まります。医師はこれらの要因を総合的に判断し、再発のリスクについて説明を行います。

再発がもたらす予後と治療成功率

再発と聞くと、治療が失敗したように感じてしまうかもしれませんが、そうではありません。再発は、初回の治療で取りきれなかった微小ながん細胞が、時間とともに再び増殖した状態です。

悪性リンパ腫の治療は日々進歩しており、再発した場合でも、再び寛解や長期にわたるコントロールを目指すことが可能です。再発後の治療成功率は、再発までの期間やがんのタイプによって異なりますが、以前に比べて格段に高い効果が期待できるようになっています。

青空の下で腕を伸ばす女性

悪性リンパ腫の再発予防策

悪性リンパ腫の再発は、初回の治療で目に見えないがん細胞が残っていることが主な原因です。そのため、再発を防ぐ最も重要な方法は、初回治療をしっかり受けることです。医師の指示に従い、最後まで治療をやり遂げることが大切です。

日常生活でのリスク軽減策

全ての再発を防ぐことは難しいですが、健康的な生活習慣を心がけることは、免疫力を高め、再発のリスクを減らすことにつながると考えられています。

  • バランスの取れた食事: 免疫力を維持するために、野菜や果物を多く含むバランスの良い食事を心がけましょう。
  • 適度な運動: 無理のない範囲で体を動かすことは、体力維持や気分転換になります。
  • 十分な休養: 疲れを感じたら無理をせず、十分な睡眠と休息をとることが重要です。
  • 禁煙・節酒: 喫煙や過度な飲酒は、様々な病気のリスクを高めます。

定期的な検査の重要性

再発を早期に発見するためには、治療後の定期的な経過観察が非常に重要です。

  • 検査内容: 血液検査や画像検査(CT、PET-CTなど)が定期的に行われます。
  • 検査の目的: 自覚症状がない段階で再発の兆候を捉えることが目的です。

再発は治療後5年以内に起こることが多いため、この期間は特に医師の指示に従って検査を欠かさず受けることが大切です。

血液検査の基準値が記載された冊子の一部

再発が疑われる症状

再発は、初回の診断時と同様に、以下のような症状から疑われることがあります。これらの症状が全て再発を意味するわけではありませんが、気になる症状があれば速やかに医師に相談しましょう。

  • 首、わきの下、足の付け根などのリンパ節が腫れる
  • 全身の倦怠感や原因不明の発熱が続く
  • 寝汗を大量にかく
  • 体重が急激に減る
  • かゆみ

再発の早期発見のための注意点

再発を早期に発見するためには、日頃からご自身の体調の変化に注意することが大切です。また、医師から「何か気になる症状があればすぐに連絡してください」と伝えられている場合は、遠慮せずに相談しましょう。

医師と看護師

悪性リンパ腫は、再発した場合でも治療の選択肢が多く、再び寛解を目指すことが可能です。

再発時の治療法とその選択肢

  • 化学療法: 初回治療とは異なる種類の抗がん剤を用いることで、がん細胞を攻撃します。
  • 自家造血幹細胞移植: 大量の抗がん剤でがん細胞を攻撃した後、患者さん自身の造血幹細胞を戻すことで、骨髄の機能を回復させる治療法です。
  • 同種造血幹細胞移植: 他の人(ドナー)の造血幹細胞を移植する治療法です。

新しい分子標的治療法と試験的治療

  • 分子標的薬: がん細胞特有の分子を狙って攻撃する薬で、従来の化学療法とは異なる作用機序を持っています。
  • 臨床試験: 新しい治療法は、臨床試験という形で安全性と効果が確認されます。医師から説明を受けた場合は、参加を検討することも一つの選択肢です。

CAR-T細胞療法の概要

再発・難治性の特定の悪性リンパ腫に対して、近年登場した画期的な治療法です。患者さん自身のT細胞(免疫細胞の一種)を採取し、がん細胞を攻撃する能力を高めるように加工してから体内に戻す治療法です。高い効果が期待できますが、高度な医療機関でのみ実施されます。

→ 乗り越えたからこそ伝えたい「悪性リンパ腫克服者の声」はこちら

患者の支援と医療チームとの協力

悪性リンパ腫の治療は、患者さん、ご家族、そして医師や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど、様々な専門家が協力して進めていくことが重要です。治療の不安や疑問は、遠慮せずに医療チームに相談しましょう。

社会復帰に向けた支援

治療が長期にわたる場合、仕事や経済面での不安を抱える方もいます。がん相談支援センターでは、治療費の制度や、仕事と治療の両立、社会復帰に向けた相談など、様々な支援を受けることができます。

監修医 医学博士 上羽 毅

監修医

医学博士

上羽 毅

私は医師として日々の診療にあたる中で、患者さんが抱える「治療に対する不安」や「治療への向き合い方」などの声を多く耳にしてきました。
そのような経験から、このサイトでは信頼性を第一に、最新の医学的知見や治療方針をもとに内容を確認・監修しています。専門的な部分を分かりやすく伝えることを心がけ、読者の方が正しい知識をもとに前向きに治療へ臨めるよう願っています。