肺がん治療の抗がん剤の副作用と上手に向き合う生活の知恵。食事レシピも公開!
肺がんの診断を受けてから、これからの治療や体調の変化について、言葉にできないほどの大きな不安を抱えていらっしゃると思います。
日々の生活のなかで、お薬による体調の変化に戸惑い、心細さを感じる瞬間もあるかもしれません。
でも、決して一人で抱え込まないでくださいね。
あなたが少しでも穏やかに、毎日の生活を心地よく過ごせるように、今日から実践できる具体的な知恵を丁寧にお伝えしていきます。
まずは、多くの患者様が直面しやすい体調の変化と、その具体的なセルフケアの方法から一緒に見ていきましょう。
肺がん薬物療法の代表的な副作用と日常のケア

治療中にお薬の影響で体がだるくなったり、いつもと違う変化を感じたりすると、本当に心までつらくなってしまいますよね。
吐き気や嘔吐がつらいときの食事の工夫
肺がんの治療が始まると、お薬の影響でお腹のあたりがムカムカしたり、食欲が落ちてしまったりすることがあります。
これはお薬が全身をめぐり、脳や胃腸のセンサーが刺激されるために起こる症状です。 食べられないことがストレスになってしまうかもしれませんが、日々のちょっとした工夫でその不快感を和らげることができます。
ご家族も「何か食べさせなきゃ」と焦らず、本人のペースに寄り添いながら、口にできるものを食べられるタイミングで見守ってあげてくださいね。
💡 今日からできるケアのポイント
一度に食べる量を減らして回数を増やす
お腹がムカムカするときは1日の食事を5回から6回に細かく分けて、少しずつ口に運ぶのがおすすめです。
食べ物の匂いを抑える工夫をする
温かいお料理は湯気と一緒に匂いが立ちやすいため、少し冷まして常温くらいにしてから食卓に出すと食べやすくなります。
酸味やさっぱりした味付けを利用する
レモンやショウガの風味、ポン酢などのさっぱりした味付けは、お口のなかの不快感を和らげて食欲を刺激してくれます。
●ほっと落ち着く生姜と卵のだしスープ
【なぜ良いの?(期待できる効果)】
吐き気への効果:生姜に含まれる天然の成分が、お腹の不快感や胃のムカムカを優しく抑えてくれます。
栄養と水分補給:食欲がないときでも、だしの旨味でサラッと喉を通り、大切な水分を効率よく補給できます。 さらに卵を加えることで、体に負担をかけずに良質なタンパク質も優しく補給できます。
お腹への配慮:卵はふんわりと柔らかく仕上げることで、弱っている胃や腸にも優しく消化されます。

【材料 1人分】
- だし汁:200ml
- 薄口醤油、みりん:各小さじ半分
- 卵:1個
- すりおろしショウガ:小さじ半分
【作り方】
1.小さな器に卵を割り入れ、お箸でよく溶きほぐしておきます。
2.鍋にだし汁、薄口醤油、みりんを入れてひと煮立ちさせます。
3.鍋のスープが軽くフツフツと沸騰しているところに、1の溶き卵を少しずつ細く回し入れます。卵がふんわりと浮き上がってきたら、すぐに火を止めます。
4.すりおろしたショウガを加えてよく混ぜ合わせます。
5.器に注ぎ、匂いが立ちすぎないよう少し冷ましてから、水分を補給するイメージで少しずつお口に運んでください。
※卵を入れると少し保温性が高まり、冷めにくくなることがありますので、お召し上がりの際はやけどにご注意いただき、適度に冷ましてからお口に運んでくださいね。
少しでもお口にできるものが増えると、体力が維持され、お薬の治療をスムーズに続けるための大きな力になります。
吐き気を抑える優れたお薬も事前に点滴される時代ですので、無理せず過ごしてくださいね。
もし水分すら摂ることができず、おしっこの量が明らかに減ってきたときは、脱水が心配される目安となります。
「少し水分を摂るのもしんどくて、おしっこの量も減ってきました」と先生に伝えて、早めに適切なサポートを受けてくださいね。
手足のしびれやピリピリ感を和らげる身体のケア
お薬の投与を重ねていくうちに、手先や足の裏がピリピリとしびれたり、感覚が鈍くなったりすることがあります。
これは特定の薬剤が末梢神経に影響を与えることで起こる機能障害で、ボタンが留めづらいなど、日常の動作に影響が出やすい特徴があります。
しびれの程度や現れる時期には個人差がありますが、冷えや皮膚への強い刺激が加わると、症状が強く感じられることが多いものです。
ご家族と一緒に、手足をいたわる優しいケアを毎日の習慣に取り入れて、少しでも感覚を和らげていきましょう。
💡 今日からできるケアのポイント
手足を温めて血液の流れをよくする
冷えはしびれを強める原因になるため、ぬるめのお湯で手浴や足浴をしたり、厚手の靴下や手袋を用いたりして保温を心がけます。
皮膚に潤いを与えて優しく保護する
皮膚が乾燥すると刺激に敏感になるため、保湿クリームを手のひらで温めてから、擦らずに優しく包み込むように塗ってください。
家事や作業のときは手袋を着用する
水仕事の際は冷たい水ではなくぬるま湯を使い、厚手のゴム手袋をはめることで、手先への刺激や怪我を予防することができます。
手先のケアを丁寧に行うことで、皮膚の乾燥やひび割れを防ぎ、毎日の着替えや食事がスムーズに行えるようになります。
しびれがあると、手足の小さな傷や出血に気づきにくくなるため、ご家族が目で見て肌の変化を確認してあげることも大切なケアです。
もし、足の感覚が鈍くなって歩くときにふらついたり、物をよく落としたりするようになったら、生活のなかでの転倒を防ぐための対策が必要な目安となります。
「手足がピリピリして、歩くときに少しふらつきます」と看護師に相談し、安全に過ごす工夫を一緒に見つけていきましょう。
お腹の調子(下痢・便秘)を整える生活の知恵
治療のなかでお薬の影響や環境の変化により、下痢が続いたり、逆に便秘になってお腹が張ったりすることがあります。
分子標的薬や一部の抗がん剤は、腸の粘膜細胞を刺激しやすいため、突然お腹がゆるくなってしまうことが珍しくありません。
また、吐き気止めのお薬の影響や、体を動かす頻度が減ることで、便が硬くなってしまうことも多く見られます。
お腹のトラブルは体力を消耗させ、気持ちまで滅入らせてしまうからこそ、日々のちょっとした工夫でお腹の環境を優しく整えていきましょう。
💡 今日からできるケアのポイント
こまめな水分補給で脱水を予防する
下痢のときは体の水分が失われやすいため、常温の水やスポーツドリンクを、喉が渇く前に少しずつ飲むようにしてくださいね。
腸を刺激しやすい食べ物を控える
香辛料などの強い調味料、冷たすぎる飲み物、脂肪分の多いお料理は、お腹の粘膜を刺激して症状を悪化させるので避けます。
お腹の動きを助ける食事を意識する
便秘がちのときは、柔らかく煮た野菜やスープなど、消化がよく水分がたっぷり含まれたメニューを中心に選ぶのがおすすめです。
●お布団の上で手足ストレッチ
【なぜ効くの?(期待できる効果)】
便秘への効果:手足を動かして血流を良くすることで、お布団で休んでいて鈍くなった腸の自然な動きを促します。
下痢への効果:リラックスする神経が働き、過剰に動きすぎている腸を優しくななだめ、手足の冷えによる悪化も防ぎます。
安心のポイント:お腹を直接ひねったり圧迫したりしないため、痛みがあるときでも体に負担をかけず安全に行えます。
【手順】
1.布団やベッドの上で仰向けになり、全身の力を抜いて楽な姿勢をとります。
2.両方の手首と足首を、外回りと内回りにそれぞれ5回ずつ、ゆっくり大きく回します。
3.手と足の指をギュッと握って「グー」にし、次にパッと開いて「パー」にする動きを5回繰り返します。
お腹の調子が安定してくると、必要な栄養や水分が体にしっかり吸収され、治療を乗り切るための底力が湧いてきます。
病院からは、下痢止めのお薬や便を柔らかくする調整薬が処方されることが多いので、自分の判断で中断せず適切に使用しましょう。
もし、激しい下痢が1日に何度も続いて熱が出たり、何日も便が出ずにお腹が痛んだりするときは、速やかに医療機関を受診する目安となります。
「お腹の調子がなかなか戻らなくて、体もしんどいです」と伝えて、適切な処置を受けてくださいね。
副作用の症状が現れる時期とスケジュール

これから始まる治療の見通しが立つと、先回りして心の準備ができるようになり、日々の不安や緊張がふっと軽くなりますよ。
薬の種類によって異なる体調変化の波を知る
お薬による体調の変化は、投与された直後から現れるものもあれば、数週間が経過してから少しずつ現れるものまでさまざまです。
肺癌の治療方針は、がんの組織型(小細胞がんか非小細胞がんか)や進行度によって大きく異なります。早期であれば手術が検討されますが、進行している場合などには、放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた治療が行われることも少なくありません。
特にプラチナ製剤を用いた治療では、高い効果が期待される一方で、腎臓への障害などの特有の副作用に配慮しながら進めていくことになります。
細胞の増殖を抑える化学療法や、がんの特定の遺伝子変異に作用する分子標的薬、自身の免疫を高める免疫チェックポイント阻害薬など、治療法によってその特徴は異なります。
あらかじめ、この時期にはこのような変化が起きやすいというスケジュールの波を知っておくことで、慌てずに適切なセルフケアを行うことができますよ。
💡 今日からできるケアのポイント
治療開始からの日数をカレンダーに記録する
点滴や内服を始めた日を最初の1日として、毎日の体調の変化や気づいた症状をカレンダーに簡単に書き留めておきましょう。
白血球が減少する時期は感染症対策を強める
投与後1週間から2週間頃は、骨髄の働きが一時的に低下し、白血球の数が減少して感染症にかかりやすくなるため、人混みを避けましょう。
脱毛が始まる前に頭皮の準備をしておく
治療後2週間から3週間頃に脱毛が始まることが多いため、事前に柔らかい帽子やウィッグを用意し、髪を短く整えておくと安心です。
体調変化のスケジュールを把握しておくことで、今は体力が低下しやすい時期だからお家でゆっくり過ごそうと、生活のペースを上手にコントロールできるようになります。
ご家族も、この体調の波に合わせて買い出しや家事をサポートしてあげることで、患者様の心身の負担を効果的に減らすことができますよ。
もし、白血球の減少が予想される時期に37.5度以上の発熱があったり、強い寒気や咳が出たりしたときは、速やかに病院へ連絡すべき大切な目安となります。
「熱が37.5度まで上がって、体がガタガタ震えます」と、すぐに主治医の先生や夜間窓口に相談してくださいね。
病院で医師や看護師へ上手に伝えるコツ

毎日の体の小さな変化を医療チームと共有することは、つらい症状を長引かせず、あなたに最適な治療を安心して続けていくためにとても大切です。
看護師や先生に毎日の変化を分かりやすく伝えるコツ
診察室に入ると、緊張してしまって言いたいことをうまく伝えられなかったというお声をよく耳にします。
主治医の先生や看護師は、お薬の効果だけでなく、あなたが日常生活をどれくらい普段通りに過ごできているかを一番に確認したいと思っています。
難しい専門用語を使う必要はまったくありませんので、目の前のベテラン看護師に普段の様子をありのままにお話しするような気持ちで、リラックスして伝えてくださいね。
💡 今日からできるケアのポイント
つらい症状がいつからどれくらい続くか書く
3日前から下痢が1日に4回ある、朝起きたときが一番ムカムカするなど、具体的な数字や時間帯をメモしておきましょう。
日常生活で困っていることを具体的に伝える
しびれのせいで箸が持ちづらく食事が大変、だるさのせいで洗濯物を干すのがつらいなど、生活への影響を伝えましょう。
市販薬や使った対策を医療チームに共有する
自分で購入した胃薬や下痢を止める薬を用いたり、工夫したりしたことがあれば、その内容と効果をノートに書いて診察時に見せましょう。
あなたの生活に寄り添った具体的な情報を伝えることで、医療チームは次からはお薬の量を調整しましょう、もっと合う対処法を探しましょうと、あなたに最適な治療方針を一緒に考えてくれます。
ご家族が代わりにメモを渡してあげることも、限られた診察時間を有効に使うための素晴らしいサポートになりますよ。
もし、新しい症状が現れてそれが日に日に強くなったり、いつもと違う強い倦怠感や息苦しさを感じたりしたときは、次の診察を待たずに病院へ連絡する目安です。
「先生、ノートに書いたのですが、今週はこれまでにないだるさが続いていて不安です」と声に出して伝えてくださいね。
治療を支える経済的な公的支援制度

治療にかかる費用のことが頭をよぎると、心まで重くなってしまいますが、お金の不安を和らげて生活を守るための温かい制度がたくさん用意されています。
お金の不安を減らして治療に専念できる公的制度
肺がんの薬物療法では、分子標的薬や免疫療法などの新しい薬剤が用いられることも多く、家計への負担や仕事との両立について悩まれる方が非常に増えています。
日本では、一般の患者様が医療費の負担で行き詰まることがないよう、医療費を一定の金額に抑える高額療養費制度や、生活を支えるためのサポート体制がしっかりと整備されています。
これらの制度を事前に知って上手に利用することで、お金の心配に心を痛めることなく、ご家族と一緒に安心して治療に専念できる環境を整えることができます。
💡 今日からできるケアのポイント
限度額適用認定証を事前に申請する
この認定証を病院の窓口に提示することで、1ヶ月の窓口での支払いが自分の所得に応じた上限額までに抑えられます。
がん相談支援センターに相談の予約を入れる
多くの指定医療機関には、公的制度や仕事の両立について無料で相談に乗ってくれる専門の医療ソーシャルワーカーが在籍しています。
傷病手当金や税金の医療費控除を確認する
お仕事をお休みする場合の休業補償である傷病手当金や、確定申告で行う医療費控除など、利用できる他のお金の仕組みをリストアップします。
これらの経済的なサポートを活用することで、毎月の家計のスケジュールが見通せるようになり、これなら治療を続けていけるねと、ご家族みんなで大きな安心感を得ることができます。
公的な制度の手続きは、少し硬くて難しく感じるかもしれませんが、がん相談支援センターのスタッフが申請方法を優しく教えてくれますので安心してくださいね。
もし、治療費の支払いや今後の生活費に少しでも不安を感じたときは、その時が専門家に相談を持ちかけるベストな目安となります。
「今後の医療費がいくらになるか不安なので、利用できる制度を教えてください」と、窓口の先生や看護師にいつでも声をかけてくださいね。
まとめ
今日まで、ご自身の病気やこれからの治療に対して、一生懸命に向き合ってこられましたね。
言葉にできないほどの緊張や不安のなかで、一歩ずつ進んでこられた患者様、そして側で優しく支え続けていらっしゃるご家族の毎日の努力を、心から温かく労いたいと思います。
治療を進める中で、今回お話しした副作用の他にも、全身のだるさや、体力が落ちていくことへの不安など、新たなお悩みが出てくることもあると思います。
そんな時も、お一人で抱え込まずに、介護保険制度や地域ごとのサポート体制など、頼れる場所はたくさんあるということを覚えておいてくださいね。
公的な窓口や、病院の相談室はいつでも皆さんの味方です。
がんと向き合う日々のなかに、少しでもホッとできる時間が増えますように。 気になる他のお悩みも、ぜひ一緒にのぞいてみてくださいね。
