2026.03.18

抗がん剤と貧血の関係とは?症状と対策、おすすめレシピを紹介

頭を押さえる女性

がん治療を受けていると、「なんだか毎日疲れやすい」「息切れがひどい」「立ちくらみがする」といった体の変化を感じることがあります。

これらは、体に酸素を運ぶ赤血球やヘモグロビンが減ることで起こる「貧血」が原因かもしれません。

抗がん剤治療では、骨髄の働きが一時的に弱まり、赤血球が作られにくくなるため、貧血は比較的よくみられる副作用のひとつです。

症状が進むと、動くとすぐに息が上がったり、体が重く感じたりと、日常生活に影響が出ることもあります。

「年齢のせいかな」「治療の疲れかな」と見過ごしてしまう方も少なくありませんが、早めに気づいて対処することが大切です。

このコラムでは、抗がん剤と貧血の関係、そして治療を続けながら少しでも楽に過ごすための対策について、わかりやすく解説していきます。

額を押さえ、ソファに横になる女性

貧血は、がんそのものによっても、治療によっても起こり得る症状です。

特に抗がん剤治療を受けている患者さんでは、いくつかの要因が重なり、赤血球が減少しやすい状態になります。

赤血球は体のすみずみに酸素を届ける重要な役割を担っているため、数が減ると疲れやすさや息切れ、立ちくらみなど、日常生活に影響するさまざまな不調が現れます。

ここでは、抗がん剤治療中に貧血が起こりやすくなる主な理由を、順を追って解説します。

● 骨髄へのダメージ
抗がん剤は、がん細胞を攻撃する一方で、正常な細胞にも影響を及ぼします。
特に影響を受けやすいのが、血液を作り出す「造血細胞」がある骨髄です。
骨髄がダメージを受けると、赤血球・白血球・血小板といった血液成分を十分に作れなくなります。
赤血球の産生が追いつかなくなることで、貧血が進行しやすくなります。
これは抗がん剤治療で最も一般的な貧血の原因といえるでしょう。

● 腎臓の機能低下
腎臓は老廃物を排出するだけでなく、「エリスロポエチン」という赤血球を増やすホルモンを作っています。
抗がん剤の種類によっては腎臓に負担がかかり、このホルモンの分泌が低下することがあります。
エリスロポエチンが不足すると、骨髄が赤血球を作る指令を受け取れず、結果として赤血球の数が減ってしまいます。

● 栄養不足・食欲不振
抗がん剤治療中は、吐き気や口内炎、味覚の変化などが起こりやすく、食欲が落ちてしまう方が多くいます。
食事量が減ると、赤血球の材料となる鉄、ビタミンB12、葉酸といった栄養素が不足しがちです。
これらの栄養素は赤血球を作るうえで欠かせないため、不足すると貧血がさらに進行しやすくなります。

● 出血や感染症の影響
抗がん剤の影響で血小板が減ると、出血しやすくなります。
消化管などで起こる小さな出血は自覚しにくいものの、積み重なると貧血の原因になります。
また、治療中は免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。
感染症が起こると赤血球が壊れやすくなることがあり、これも貧血を悪化させる要因となります。

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貧血に悩む女性のイラスト

がん治療中は、体調の変化が起こりやすく、普段なら気にならないような小さな症状でも、治療の影響が隠れていることがあります。

どんな些細なことでも、遠慮せずに医師や看護師へ相談することが大切です。

特に、次のような症状がある場合は貧血が関係している可能性があります。

よくみられる貧血の症状

・少し動いただけで息切れや動悸がする
・以前より疲れやすく、体が重く感じる
・めまいや立ちくらみが増えた
・顔色が青白く見える
・手足が冷えやすくなった
・集中力が続かず、ぼんやりすることが増えた

これらは赤血球が減り、体に十分な酸素が行き届かなくなることで起こる典型的なサインです。

症状が軽い段階でも、治療の進行とともに悪化することがあるため、早めの相談が安心につながります。

医師に伝えるときの言い方の例

「最近、少し歩いただけで動悸がして息切れします」
「朝起きるのがつらく、疲れがずっと抜けません」
「立ち上がるとふらつくことが増えました」

このように、“いつから・どんな場面で・どの程度つらいか” を具体的に伝えると、医師も状況を把握しやすくなります。

貧血かどうかを判断するには血液検査が必要です。症状を丁寧に伝えることで、医師が適切なタイミングで検査を行い、必要な対策を早く取ることができます。

治療を安全に続けるためにも、気になる変化は抱え込まず、早めに相談することが大切です。

貧血を防ぐためには、鉄やビタミンB12、葉酸といった赤血球づくりに欠かせない栄養素をしっかりとることが大切です。

なかでも動物性食品に含まれる「ヘム鉄」は吸収率が高く、効率よく鉄分を補給できます。

また、鉄の吸収を助けるビタミンCを一緒にとることで、より効果的に体に取り入れられます。

食事を少し工夫するだけでも、体調の改善につながることがあります。

ここでは、忙しいときでも簡単に作れる、貧血対策に役立つレシピをご紹介します。

あさりと豆腐のスープ

あさりと豆腐のスープ

【材料】(2人分)
・あさりの水煮缶…1缶(約100g)
・絹ごし豆腐…1/2丁
・生姜(すりおろし)…小さじ1
・だし汁…300ml
・しょうゆ…小さじ2
・小ねぎ(お好みで)…少々

【作り方】
1.鍋にだし汁とあさり缶(汁ごと)を入れ、中火で温める。
2.絹ごし豆腐をスプーンでひと口大にすくって加える。
3.生姜としょうゆを加えてひと煮立ちさせる。
4.火を止め、お好みで小ねぎを散らす。

ほうれん草とツナのおひたし

ほうれん草とツナのおひたし

【材料】(2人分)
・ほうれん草…1/2束
・ツナ缶(ノンオイル)…1缶
・しょうゆ…小さじ1
・砂糖…少々

【作り方】
1.ほうれん草をさっとゆで、水にとって冷まし、水気をしぼる。
2.食べやすい長さに切り、ツナとしょうゆ、砂糖を混ぜる。
3.よく和えて、器に盛る。
※ すりごまを大さじ1加えて、ごま和えにするのもおすすめです。

レバーペースト風ディップ

【材料】(作りやすい分量)
・鶏レバー…100g
・牛乳…適量(下処理用)
・バター…10g
・にんにく…1/2片
・塩こしょう…少々

【作り方】
1.鶏レバーは血抜きしてから牛乳に30分ほど浸したら、水で洗って下処理をし、ざく切りにする。
2.フライパンにバターとにんにくを入れて香りを出し、レバーを炒める。
3.火が通ったらミキサーやフードプロセッサーでペースト状に。塩こしょうで味を調える。
※ バケットやクラッカー、野菜スティックにつけてどうぞ。

フルーツ入りヨーグルトスムージー

【材料】(1杯分)
・プレーンヨーグルト…100g
・バナナ…1/2本
・冷凍いちご…3〜4個
・はちみつ…小さじ1〜2

【作り方】
1.材料をすべてミキサーに入れる。
2.なめらかになるまで撹拌し、コップに注ぐ。
※ 口当たりが良いので、食欲不振時にもおすすめです。

日常生活の工夫だけでは改善が難しい貧血に対しては、医療的なサポートを受けることで症状が和らぎ、治療をより安全に続けやすくなります。

貧血は放置すると疲れや息切れが強くなり、生活の質が大きく低下してしまうため、必要に応じて治療の一環として積極的に取り入れていくことが大切です。

● よく使われる対処法
・鉄剤の処方
鉄分が不足している場合、内服薬や点滴で鉄を補う治療が行われます。
鉄は赤血球の材料となるため、不足を補うことで貧血の改善につながります。

・ビタミン剤の補給(ビタミンB12・葉酸など)
赤血球を作るには鉄だけでなく、ビタミンB12や葉酸といった栄養素も欠かせません。
食欲不振や治療の影響で不足している場合、医師の判断で補給が行われます。

・エリスロポエチン製剤
腎臓で作られる「エリスロポエチン」というホルモンは、骨髄に赤血球を作るよう指示する役割があります。
このホルモンが不足している場合、製剤を使って赤血球の生産を助ける治療が行われます。

・輸血
急激に貧血が進んだ場合や、強い倦怠感・息切れがあり日常生活に支障が出ている場合には、輸血が選択されることがあります。
即効性があるため、症状を早く改善したいときに有効です。

これらの治療法は、すべて医師が患者さんの体調や血液検査の結果を踏まえて選択します。無理をして我慢する必要はありません。必要なときにはしっかりと医療的なサポートを受けることで、治療期間をより安心して過ごすことができます。

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がんと向き合う毎日の中では、体調の小さな変化をつい後回しにしてしまいがちです。

しかし、「しんどい」「つらい」という感覚は、決して我慢する必要のない大切なサインです。

貧血による症状は、適切に対処すれば軽くできることも多く、早めに気づくことで治療中の負担を減らすことができます。

どうかご自身の体の声にそっと耳を傾け、無理をしない選択を大切にしてください。

つらさを抱え込まず、必要なときには医療スタッフの力を借りながら、少しでも安心して治療を続けられるようにしていきましょう。

監修医 医学博士 上羽 毅

監修医

医学博士

上羽 毅

私は医師として日々の診療にあたる中で、患者さんが抱える「治療に対する不安」や「治療への向き合い方」などの声を多く耳にしてきました。
そのような経験から、このサイトでは信頼性を第一に、最新の医学的知見や治療方針をもとに内容を確認・監修しています。専門的な部分を分かりやすく伝えることを心がけ、読者の方が正しい知識をもとに前向きに治療へ臨めるよう願っています。