胆管がんの黄疸とは?白目や尿の色の変化と、黄疸をやわらげる治療
白目が黄色く見える、尿の色が濃いといった変化をきっかけに、胆管がんと黄疸の関係が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
胆管がんの黄疸は、腫瘍によって胆汁の通り道がふさがることで起こり、胆道ドレナージという処置で和らげられる場合が多くあります。
黄疸は体の異常を知らせるサインであると同時に、その後の治療の進め方を左右する重要な症状でもあります。
このコラムでは、胆管がんの黄疸における具体的な特徴や注意点を分かりやすく整理し、毎日の暮らしの中で無理なく取り入れられる実用的な生活の知恵や対策をお届けします。
胆管がんと黄疸の関係とは

胆管がんの種類
胆管がんは、発生する部位によって「肝内胆管がん」「肝門部領域胆管がん」「遠位胆管がん」の3つに分類され、このうち肝臓の外にある肝門部領域と遠位の胆管がんは、比較的早い段階から黄疸が出やすいタイプです。
胆管は肝臓で作られた胆汁を十二指腸まで運ぶ細い管で、太い部分がふさがると胆汁の流れ全体が滞るため、黄疸という形で症状が表に出やすくなります。
肝門部領域胆管がんは、肝臓の出口付近で左右の胆管が合流するあたりに発生します。
遠位胆管がんは、胆のうから出る管が合流したあと、膵臓の中を通って十二指腸へ向かう下部の胆管に発生し、膵頭部や十二指腸乳頭の近くに位置します。
一方、肝臓の中の細い胆管に発生する肝内胆管がんは、がんが大きくなるまで胆汁の流れが保たれることが多く、黄疸よりも腹部の違和感や、健診の超音波検査をきっかけに見つかることがあります。
なお、胆管がんは、胆のうがん(胆嚢がん)や十二指腸乳頭部がんとあわせて「胆道がん」とも呼ばれます。
胆管がんは早期発見が難しい病気とされていますが、黄疸は目に見える数少ない手がかりの一つです。
同じ胆管がんでも、発生した場所によって黄疸の出方や治療の進め方は異なります。
検査結果や治療方針の説明が理解しやすくなるため、部位の説明がなかった場合は「私のがんは、胆管のどの部分にできていますか」と主治医に尋ねてみるのがよいでしょう。
胆管がふさがるとなぜ黄疸になるのか
黄疸は、胆管ががんによって狭くなったりふさがったりして、胆汁に含まれる黄色い色素「ビリルビン」が行き場を失い、血液の中にあふれ出すことで起こります。
ビリルビンは古くなった赤血球が壊れるときにできる色素で、本来は肝臓で処理されたあと胆汁とともに腸へ流れ、便として体の外へ排泄されます。
この流れが途中で止まることが、黄疸の直接の原因です。
そのため、黄疸は、胆汁の通り道に何らかの異常が起きていることを示す体からのサインともいえます。
胆管がんでは、胆管の壁にできたがん細胞が増えたり、周囲へ浸潤したりして管の内側を狭くする「狭窄」や、完全にふさいでしまう「閉塞」が起こります。
そうなるとせき止められた胆汁が逆流して、肝臓から血液の中へと入り込みます。
すると血液中のビリルビンの値が上昇し、全身の皮膚や白目が黄色く染まっていきます。
こうした仕組みで起こる黄疸は「閉塞性黄疸」と呼ばれ、痛みを伴わずに少しずつ進むことも少なくありません。
また、胆石や胆管炎など、がん以外の疾患でも同じような黄疸が起こることがあります。
胆管がんの黄疸で現れる症状

白目・皮膚・尿・便の色の変化
胆管がんによる黄疸では、白目と皮膚が黄色くなるほかに、尿の色が濃くなり、便の色が白っぽくなるという変化が現れます。
特に尿の色の変化は、皮膚の黄色さよりも先に気づきやすい初期のサインです。
尿の色が濃くなるのは、血液中にあふれたビリルビンが腎臓から尿へ出るためで、便が白っぽくなるのは、便に色をつけている胆汁の色素が腸へ届かなくなるためです。
日々の生活の中で確認しやすいポイントは、次の4つです。
・朝、洗面所の鏡で見ると、白目の部分が薄い黄色に見える
・手のひらや顔の皮膚が、全体に黄みがかって見える
・尿が紅茶やウーロン茶のような濃い褐色になり、泡まで黄色く見えることもある
・便が灰色がかった白色や、粘土のような薄い色になる
室内の電灯の下では黄色さが分かりにくいため、日中に自然光の入る窓辺で確認すると変化に気づきやすくなります。
色の変化は、スマートフォンで白目や尿を同じ場所・同じ時間帯に撮影しておくと、前の日との違いを比べやすくなります。
黄疸に伴う症状
黄疸と一緒に現れやすい症状として、皮膚のかゆみ、発熱、みぞおちや右の脇腹の痛み、食欲不振や体重の減少があります。
なかでも最も注意したいのは寒気や震えを伴う高い発熱で、胆汁がたまった胆管に細菌が感染する「胆管炎」の可能性があります。
かゆみは、胆汁の成分が血液を通して皮膚に届くことで起こると考えられています。
夜に布団の中で体が温まったときや入浴後に強くなりやすく、眠りが浅くなる原因にもなります。
発熱については、38度以上の熱とともに、ガタガタと震えるような寒気や、右の肋骨の下あたりの痛みが同時に出た場合に注意が必要です。
ほかにも、胆汁が腸へ流れないと脂肪の消化や吸収がうまくいかず、脂っこい食事で胃がもたれたり、下痢をしたりすることがあります。
こうした症状が重なると、体のだるさや倦怠感が強まり、食事量が落ちて体重が減っていくことにつながります。
胆管がんの診断方法

血液検査・画像検査・内視鏡検査
胆管がんの診断は、血液検査で黄疸や肝臓の状態を確認し、超音波検査やCT、MRIといった画像検査で胆管がふさがっている場所とがんの広がりを調べ、内視鏡検査で組織を採取して確かめるという流れで進みます。
採血や画像検査は主に外来で行い、内視鏡検査は短い入院で行うこともあります。
いくつもの検査を重ねるのは、検査から得られた情報をもとに、がんの位置と広がりを正確に把握することが、手術ができるかどうかや、黄疸をどのように治療するかの判断に直結するためです。
主な検査の内容は、次のとおりです。
・血液検査
→ ビリルビンの値や肝胆道系の酵素の数値、腫瘍マーカー(CA19-9やCEA)を調べる
・腹部超音波検査(エコー)
→ おなかに機械を当てて、胆管が太く広がる「拡張」がないかを見る
・造影CT検査
→ 造影剤を点滴で注入して撮影し、腫瘍の位置や、動脈などの周囲の血管、リンパ節、他の臓器への転移を確認する
・MRI検査(MRCP)
→ 胆管や膵管の形を立体的に描き出す
・内視鏡検査
→ 口から十二指腸まで内視鏡を入れ、胆管の中を観察したり組織を採取したりする
内視鏡を用いた検査には、胆管に造影剤を入れて撮影する「ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)」や、胃や十二指腸の中から超音波を当てる「EUS(超音波内視鏡)」があります。
ERCPでは、検査と同時に黄疸を改善する処置を行えることもあります。
なお、腫瘍マーカーは黄疸そのものによって上昇することもあるため、数値だけでがんかどうかを判断するものではありません。
胆管がんの黄疸への処置

胆道ドレナージとステント
胆管がんの黄疸に対しては、ふさがった胆管に管を通して胆汁を流す「胆道ドレナージ」という処置が行われ、多くの場合、黄疸が改善していきます。
黄疸を先に和らげることは、身体の負担を減らし肝臓の機能を回復させるだけでなく、手術や抗がん剤治療を安全に受けるための準備としても重要です。
ビリルビンの値が高くなったままでは、抗がん剤の投与が難しくなる場合があるためです。
ドレナージには主に次の方法があり、がんの位置や体の状態に応じて使い分けられます。
・内視鏡でステントを入れる方法
→ ERCPの手技で、胆管の狭くなった部分に「ステント」と呼ばれる細い筒を留置し、胆汁を十二指腸へ流す
ステントは体内に留置されるため、体の外に管は出ない
・鼻から管を出す方法
→ 内視鏡で胆管に入れたチューブを鼻から外へ出し、胆汁を袋に集める
・脇腹から管を入れる方法
→ 右の脇腹などから肝臓を通して胆管に管を入れ、胆汁を体の外へ出す
ステントには、プラスチック製と、網目状に広がる金属製があります。
ERCPによる処置では、まれに膵炎などの合併症が起こることがあるため、処置のあとはしばらく経過を観察します。
ステントを入れたあとも、胆汁の汚れやがんの増大によって再び詰まることがあり、その場合は黄疸の再発や胆管炎の原因になるため、交換などの処置が行われます。
体の外にチューブがある場合は、抜けないように固定し、排液の色や量を確認しながら生活することになります。
処置のあとは、白目や尿の色が少しずつ元に戻っていくかを確認します。
ステントやチューブについては、どの種類が入っているか、交換の目安はいつ頃か、詰まったときにどんな症状が出るかを主治医に確認し、メモに残しておくと安心です。
チューブが入っている方は、入浴時の保護の仕方も医療スタッフに教えてもらうとよいでしょう。
手術・化学療法・放射線治療
胆管がんの治療は、がんを取り切れる場合は外科手術による切除が中心となり、手術が困難な場合は抗がん剤による化学療法を軸に、黄疸の管理や緩和ケアを並行して進めていきます。
胆管は肝臓や膵臓、重要な血管と接しているため、がんの広がりの範囲によって手術ができるかどうかが大きく変わり、根治が期待できるのは主に手術で取り切れた場合です。
手術の方法は発生部位によって異なり、肝門部領域胆管がんでは肝臓の一部と胆管をあわせて切除し、遠位胆管がんでは膵臓の頭の部分と十二指腸を切除する「膵頭十二指腸切除」が一般的です。
切除後は、残った胆管や膵管を腸につなぎ直す再建も行われます。
術後は、再発を防ぐ目的で経口の抗がん剤(飲み薬)を補助的に使用することもあります。
手術ができない場合の化学療法では、ゲムシタビンとシスプラチンを併用し、さらに免疫の働きを利用した薬を組み合わせる方法が、現在の標準的な治療の一つです。
放射線治療は、がんの進行を局所で抑える目的や、痛みなどの症状を和らげる目的で選択されることがあります。
どの治療法が合うかは、がんの状態や全身の体力によって判断されます。
治療法を選ぶ際は、効果だけでなく、通院の頻度や副作用、生活への影響も含めて考えることが大切です。
迷ったときは、がん診療連携拠点病院にある相談支援センターで治療や生活のサポートについて相談することもできます。
黄疸があるときの生活の工夫

かゆみへの対処
黄疸によるかゆみは、肌の保湿、ぬるめの入浴、肌への刺激が少ない衣類選びといった日々の工夫で和らげられることがあり、つらいときにはかゆみ止めの薬を処方してもらうこともできます。
あわせて、黄疸が再び濃くなる、寒気を伴う発熱があるといった変化は、ステントの詰まりや胆管炎のサインである可能性があるため、早めの連絡が大切です。
入浴は38〜40度程度のぬるめのお湯にして長湯を避けると、体が温まりすぎず、かゆみが強まりにくくなります。
入浴後はタオルでこすらずに押さえるように水分を拭き取り、保湿剤を塗って皮膚の乾燥を防ぎましょう。
肌着は綿などの柔らかい素材を選び、爪を短く切っておくと、寝ている間にかいて皮膚を傷つけることを防げます。
受診や病院への連絡を急ぎたい主な症状は、次のとおりです。
・寒気や震えを伴う38度以上の発熱
・一度引いた黄疸が、再び濃くなってきた
・尿の色が再び濃くなった、便が白っぽくなった
・右の脇腹やみぞおちの強い痛み
・ドレナージのチューブから胆汁が出なくなった、チューブが抜けた
毎日の体温、白目や尿の色、食欲、かゆみの程度をノートやカレンダーに一言ずつ記録しておくと、小さな変化にも気づきやすくなり、診察のときに状態を正確に伝える助けになります。
まとめ
胆管がんの黄疸は、胆汁の流れが妨げられることで起こる症状であり、胆道ドレナージなどの処置によって改善が期待できるものです。
色の変化や発熱、かゆみに気づいたときは一人で抱え込まずに、主治医や看護師、相談支援センターなど、周りにいる専門家を頼ってください。
体の小さな変化を記録しながら、できることを一つずつ積み重ねていくことが、落ち着いた毎日を支えることにつながります。
